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PEファンドがこれから熱い!?Big 4 FASとの関係についても解説します。

Japan’s new strategic M&A position

最近のM&Aの変化の兆しについて見てみましょう。
ある記事を読んでいて、少しばかり日本の将来を明るく見れそうな内容であったので、紹介します。

主に、グローバルの大手Law Firmの東京拠点のトップの見解やM&Aバンカーなどの話を基に書かれている記事で、プライベートエクイティ業界において、日本企業への視線が熱いという内容です。

記事によれば、現在の米中関係の悪化などにもより、効率性重視から安全性や安定性を重視する動きが見て取れるとのことであり、日本への投資が再注目され始めているようです。原文→“As the business world is being re-engineered from a focus on efficiency to a focus on security, Japan is finding itself in a new strategic position,”

併せて、例えば東芝のような、日本ととって巨大且つ重要な「象徴的」な企業が、部分的にもグローバルのプライベートエクイティ(PE) の手に渡っていたりする事実から、日本は新たな戦略ポジションを取りつつあるのではないかと指摘しています。

事実、日立もここ数年、子会社をKKRに相次いで売却しているし、東芝に対しても、KKRやベイン・キャピタルが買収意欲を示していたりブラックストーンが絡んでいたりもします。思い返せば、ベインは東芝メモリ(現キオクシア)も買収していたな、と。

参考までに、以下はこの約5年間ほどの、KKRとベイン・キャピタルによる日本の超巨大企業の買収の一部です。(独自調べのため、一部偏りがあります。)

徐々に日本の従来型の、ややもすれば時代遅れになっているように捉えられがちな大企業に対する、世界からの見方が変わって来ているのかもしれません。

もちろん、東芝のような大企業を丸ごと買収するには、もはや日本政府の許可が下りないと実現はしないでしょうが、潮目が変わってきているということは現時点でも言えるのではないでしょうか。

今後PEが日本経済にどうプレゼンスを出して行くのか、注目です。



ところで。
そんなしたたかに日本企業を狙っているグローバル大手PEファームですが、その手掛けるM&A案件において、Big 4のFASへ財務・税務DDを依頼することがほとんどです。

このような、日本や世界経済に大きな影響を与える、PEファームと協業できるのが、FASの醍醐味の一つと言えるため、本記事後半ではFAS出身者の目線でFASとPEファンドの関係について書いて行きます。


PEファームとBig 4 FASの関係と実態

PEファームが日本国内の企業の買収に動く場合、Big 4のFASに財務DDを依頼することが多いと説明しました。

なぜか。

まず、PEファームの業務について見て行きましょう。
彼らは、以下の手法で大きな儲けを狙い続けています。

・ファンドを設立して投資家から資金を募り<ファンドレイズ>
・実力を発揮しきれていない、魅力が眠っている企業を買収し<投資>
・様々な経営や金融手法を施して企業価値を向上させ<バリューアップ>
・ストラテジックバイヤーへ売却或いは上場させて<エグジット>

PEはかつては非公開企業の買収をするケースが中心でしたが、最近は前述の通り、上場企業なども取得するケースが増えています。

資金力が潤沢であり、大規模な会社の買収を行うPEファンドに取って、会計・税務上のリスクを買収前に把握しておくことは重要事項の一つです。財務や税務のリスクも、会社が大型化してくると、ベンチャー企業などとは比較になりません。

そして、自分たちのファンドの、資金の出し手である投資家たちに対しても、しっかりぬかりなく投資先を選定していること示すためにも、実績あるアドバイザーに調査を依頼しているということも重要な要素の一つとなるわけです。

特に、アメリカのPEは、ファンドマネージャーとBig 4のパートナーのつながりが親密であることも多く、信頼するBig 4のパートナーへ毎回、財務DDを依頼するということもあるくらいです。

さて、そんなFASとPEファームの関係について、個人的な経験も踏まえて紹介していきます。(だいぶ個人的な経験も暴露しているので、有料記事とさせて頂きます。興味がある方だけご覧下さい)



サンフランシスコベイエリア

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