見出し画像

トヨタ生産方式についてのよくある勘違い:その3

かんばん方式、signboards method

 just in timeに次ぎトヨタ以外にも多く導入されているかんばん方式とは部品、仕掛品、半製品や製品についての情報をかんばんと呼ばれる伝票に記して次工程への製造、販売や運搬の指示を出すものです。
 これについての勘違いはjust in timeについての程には多くはなく、それが何かはほぼ正しく理解されているようです。但し業者によりそのような形で表示することを必要とする情報には違いがあるのでかんばんの形式にも様々な違いがあります。
 指示書なので、トヨタ自動車にはありませんが、作業のし方をもそこに表示する例もあるでしょう。
 トヨタには一個流しという工程線への品物の混載があり、通常に流される品物とは違うものが平気で流れて来るのでそこで作業を一旦停止して作業のし方を別口の説明書を見るなりして確認するので作業のし方をかんばんに示すことは要しないとの考なのでしょう。
 それがあってもかんばんに表示のそれを読むためには作業を少しは一旦停止することを要します。
 作業の説明書もまた広い意味ではかんばんといえます。

 それが何かについての勘違いではなくよくある批判はかんばん方式の運用の拙さについてです。
 品物や場合によりかんばんがあったりなかったりして一定しないとか逆に常に一定していても実際には利用されずに形骸になっていることがその大きな例です。前者は実施力のなさが、後者は情報や行動の多重基準が主な問題と考えられます。
 店舗の看板も見えにくかったり汚かったりすると客が来ないもので、明確な表示が大切です。

一定に明確に
constantly and certainly

次工程はお客様、the next process the cusomer.

 次工程への指示を出すためのかんばん方式は「次工程はお客様。」という思想と関係します。
 客は品物や仕事が何でありどう使えばよいのかを売り手にしっかりと示される必要があります。作り手や売り手同士にもまた同じということです。

 そのようにしっかりと示すことをなしにしてお客様である次工程の要求や期待に応えることだけが第一になると結局は要求や期待にも応えられないことになります。それが「次工程はお客様。」についてのよくある勘違いです。店の商品の値札が付いていないと客は不安になります。値札の全くない店というものは何か別の形で客の信用を確立しているのです。
 総理大臣などの会見における原稿の棒読みや読み間違いが偶に批判されますがそれなどはかんばん方式が形骸になることや誤記と似るでしょう。

 また、次工程からの問い掛けにはしっかりと答えること。「俺はちゃんとやっている。」では駄目です。ちゃんとやっているなら何をどうしているかなど、主張(人の面子)ではなく説明(現地現物の把握)をすべきです。そのような例も政治にも偶に見受けられます。

商品だけではなく信用を売る。
Sell not only the commercials but credits.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?