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ザ・クリエイター。日本語を前面に出しまくってもやっぱり「指名手配」は「募集中」(ネタバレあり)

ザ・クリエイター
ゴジラ2014、ローグワンのギャレス・エドワーズ原案、エドワーズ監督SFアクションスリラー

いろいろ映画見てるんですが…なかなか記事にしておらず、久しぶりに思い立ったので…。あ、ネタバレあるので、気にならない人だけ読んでいただけたら。

あらすじ

ある理由で人間と人工知能の戦争が起きている世界。
一気に戦況を変更できる兵器を「クリエイター」が作った、という事で
行方不明のクリエイターを探し出す為に雇われた、妻を失った男。
しかしAIの占有する地域で発見した兵器は子供の姿のAIだった…

みたいな。
予告編でかなり期待して観に行ったんですが、結構ストレートな主張で
わかりやすく。しかも予告を観てから本編を観ると映画が始まってわりとすぐ、結構終盤までの流れが予想できる冒頭。
予告を全く見ないで観に行っても、たぶん子供AIが出た所で
やはり終盤までの流れが大体見当がつく。
それ位には分かりやすい話で、特別難しい設定も出てこなければ、
SFに疎くても世界観に抵抗がなければ観れるのでは。

とにかく絵が凄い。デザインも日本のガジェットっぽいイメージが強く
どことなく感じる懐かしいさ。
世界の作り込みもカッコよく、これぞSFという感じ。
映像の色味とかも最近の洋画より日本の映像に近いような、
とにかく映像としてはもう、映画館で観るのが絶対良い。

全体的にAKIRAチックな攻殻機動隊とかアップルシード。
日本好きなギャレス監督の思い入れが存分に発揮されています。
全体的に、やや人間側が理不尽な存在で、ロボット、AIが
虐げられているが共存の道を探している色を濃く出しています。
なんとなく、未来SFの入門編というか、そんな感じがしました。
分かりやすすぎてちょっと気になる演出や、足りないと思う部分も多い
感じですが(分かりにくかったり難解ならいい、という事ではなく)
例えば「テネット」みたいな心情演出の
細やかさがもう少しあったら、大雑把な部分が気にならないのでは、と
ちょっと思ってしまいまして。

日本語の使い方が微妙なのは日本が好きでいてくれるギャレス監督でも
同じ様な事に。あってるんだけど間違ってるみたいな(笑)

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以下ネタバレアリ

これは中盤位では既に判明してしまうんですが、
冒頭、主人公と生活する子供を身籠った女性が主人公の目の目の前で
爆発に巻き込まれ、死んだと思われるんですが、
その彼女はそれ以前から研究を続けており、AI子供を作り出していました(自身の身籠った、生まれることのなかった子供のコピー)それが予告編で出てくるあの子供なんですが、
冒頭で奥さんが妊娠している、という段階でSF好きは多分、みんな気づいてしまうのでは。いやSF好きじゃなくても。

そしてその子供こそ、人類が危惧しているAIが作った人型兵器であった。

そうなると
みている我々としては、やはり家族愛とか、その子を自身の子供のコピーだと知らない主人公の葛藤、奥さんはその後どうなったのか、
その子供はどうなっていくのか…が一番の焦点で、世界観とかは割と
二の次でいいと思うんですよ。あれだけ凄い絵で演出すれば
それだけで世界観に浸れるのではないかなと。
なんですが、そのあたりが微妙に物足りない為、気にならなくても
いい所が気になってしまったりしてしまう。
世界観に浸りきれない、感動したいのにしきれないという。
結構こう、トラブルがありつつもすんなり進んでしまう。

AIを殲滅せんとする西側諸国の「AIに対する恐怖や憎しみ」とか
AI側の「それでも人間を理解しようとする人間らしさ」
AIが限りなく人間に近くなったが、人間より人間らしいのはもしかしたら
人間が作った物だからかも、とか色々考えてしまうのですが、
その辺を濃く描いてくれるとこう、主人公たちの想いに
涙するというか感情移入するというか。

絵が凄く好きな世界観なのでもっと感動したかったというかw
それこそテネットで主人公だった、デンゼル・ワシントンの息子、
ジョン・デビット・ワシントンの顔芸
AI兵器子供役のマデリン・ユナ・ヴォイルズのデビュー作とは
思えない驚異的な演技力
脇を固めるエターナルズのセルシ役のジェンマ・チャン
滅茶苦茶おっかない軍人役アリソン・ジャネイ
日本人的には居るだけで目立ちまくる渡辺謙と
役者はもう勢ぞろいで、
AI達の人間臭さや、一緒に生活する世界を当たり前に描く感じとか
葬式があったり、笑ったり泣いたりと、生活の演出は凄い好きなんですが、
メインのストーリーが単純明快なので、
人間側とAI側の心情をもっと描いていれば、泣けた。
いや泣けると良い映画、ってわけではないんですけど。

絵や世界観が好きすぎて逆に物足りない所が目立つ
不思議な映画でした。
いやでもすごくカッコいい映画でした。








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