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E(V)スポーツはお好き?

実は数年前までフォーミュラEがF1よりも好きなカテゴリーだった。
F1ほどチーム間の実力差は大きくないし、グループC並に自動車メーカーが集結したグリッドは中々に壮観だ。賛否両論あるだろうがツーリングカーばりに接触上等のレースも嫌いじゃない。

今でこそDTMドイツ御三家が揃って踵を返し、ポルシェもF1参戦が決まったら将来は怪しくなるだろう。コスト高騰にビビりすぎてバッテリーや空力開発を全くできない現状のせいだろうか。2014年の誕生以来、最も厳しい時期を過ごしている。

とはいえこのまま電動化が続くのであれば心配はいらないだろう。
ロータスやアルファロメオはEV専売ブランドになる(できるかはともかく)ことを宣言しているし、我らがトヨタもEVの拡大路線をブチ上げた。
彼らがFEに進出する日も遠くないと勝手に淡い期待を抱いている。

吉利資本になり彼らのプレミアムEVブランドになる道を選んだロータス。複雑だが彼らがフォーミュラ界に帰ってくるのは歓迎だ。

僕がFEを好きな理由はちょっぴりミーハーなこともあるけれど、マシンの形がたまらなく好きなのだ。

念のため言っておくがFEのマシンは純粋なEVだ。現在の技術ではバッテリーの容量はまだまだ心もとなく、45分のレースを走り切るのがやっと。ダウンフォースをつけたら空気抵抗が増し、電費が厳しくなってしまう。結果的に名前の上ではフォーミュラでも、全くフォーミュラじゃないマシンになる。逆にいえばフォーミュラらしさに縛られない自由なデザインが可能なわけだ。

2018年から導入になった第二世代シャシー、GEN2を初めて見た時の感動は今でもよく覚えている。グランツーリスモのビジョンコンセプトやブレードランナーの世界ではなく、今自分がいる現実の世界で絵に描いたような近未来のマシンが走っている。

たまらず買ってしまったタグホイヤー・ポルシェのGEN2モデルカー。惚れ惚れする造形だ。

FEが発する音もたまらない。もちろん内燃機関を持つレーシングカーに比べたら1km先の人間のいびきくらいの静けさだろう。だがモーターやインバーターが奏でる独特な高音のノイズはシャシーのデザインも相まってスターウォーズの戦闘機が空中戦を演じているようだ。

2023年からは次世代のGEN3シャシーが投入される。ティザーを見る限りまたしても興奮を抑えられそうにない。より未来的でかつパワフルなマシンになる。
不満が全くないわけではない。今現在、そしていずれやってくるメーカーやチームのためにもっと開発可能な範囲を広げるべきだろうし、今の市街地コースはGEN2ですら狭すぎる。タイヤだってそろそろ立派なスリックを履かせてやりたい。

でもそんなフォーミュラEが僕は大好きだ。不完全で伸び代があり、これからもっと楽しいカテゴリーになってくれると信じている。

きっとこの先EVがどれだけ発展しても100%を支配するとは思えない。内燃機関とお互いの欠点を補い合う社会が理想だろう。ならばモータースポーツの世界でだって共存ができるはずだ。
基本的にFEはF1とは全く異なるカテゴリーだ。カレーライスとボールペンの優劣を競わせるくらいバカらしい。

『電気自動車のF1』これはFEが誕生した頃によく使われた比喩だ。『EVレースの最高峰』と胸を張って世界に認められる日はいつになるだろう。

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