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魅惑のWネーム

先日発表されるや否や全世界を騒然とさせた(時計マニア界隈という限定付きで)一本のパテックフィリップ。
美しいターコイズブルーの文字盤以外は特に変わったところのないノーチラス。しかし6時位置にはさりげなくTiffany & coの文字が...

ティファニーとパテックのパートナーシップが結ばれて170周年を記念して作られたこの一本。
小売価格は598万円という実にフレンドリーな価格だった。
ニューヨークのティファニー本店で170本限定で販売されたこの時計のうち一つはオークションに出品され、7億3千万円という驚愕の値で落札された。

念のために言うとこのノーチラスは別に地球には存在しない未知の鉱石で作られているわけでもなく、一週間ゼンマイを巻く必要がないわけでもなく、ご主人が死んだ後のはるか先の未来まで暦を知らせるカレンダーが付いているわけでもない。
シンプルなステンレス製の3針スポーツウォッチだ。
こうした腕時計ブランドのロゴ+販売店や企業のロゴが入った、いわゆるWネームの時計には人を狂わせる魅力がある。

今更買うのが馬鹿らしいほど高騰が止まらないロレックスもユニークなWネームが数多く存在する。カルティエ、コメックス、ドミノピザ、コカコーラ...etc
ただでさえ手の届かないロレックス、Wネーム付きなんてもはや違う銀河系の存在だ。

優秀な売り上げを記録した店舗のオーナーに送られたエアキング“ドミノピザ”

もちろん全てのWネームの時計が天文学的な価格になっているわけではない。
チューラーやギャリ・チューリッヒと言った宝飾店のWネーム。勤続記念に贈られた企業銘のWネームなどは結構お手頃に手に入る。

ダンロップや日本通運のロゴが入った勤続記念時計
この手の時計は探せば中々ユニークなものが掘り出せる

その中で僕が一段と気になっているのが金日成ネームのオメガ・コンステレーション。
一応言っておくと正気だ。
朝鮮労働党の幹部に贈られたこのオメガを着けた貴方を想像してみてほしい。
手元に輝くコンステレーション、威風堂々としたハングルを見た人は「それはなんて書いてるの?」とたまらず聞いてくるだろう。
そして貴方は誇らしげに「金日成だよ!」と答えるのだ。

どうやって彼らは脱北したのだろう?

友達は減るかもしれないが、腕時計が会話の種になるのはマニアとしてこれ以上楽しいことはないだろう。着けるのが小っ恥ずかしくてもコレクションの変わり種として所有するのも悪くない。
たった一語の刻印だけで底なし沼のように深くなるWネームの世界。
ぜひつま先だけでもつけてみたい。

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