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総発信社会の受信基地局


人は嘘をつく生き物だ。
そして、それを信じることができてしまう生き物だ。

SNS、スマートフォンの進化により、だれもが「発信者」になることが可能な社会となった。
名前も知らないどこかの誰かの発言が拡散され、何万、何十万人の目に触れる。
インフルエンサーの存在が市場を牛耳り、今やテレビCMよりも影響力を持つようになった。

専門機材や知識が必要だった音楽、映像、写真、絵画などのあらゆる芸術は、誰でもスマホ一台で作成できて、次の瞬間には全世界に発表することができる。

そんな世界になって久しい。
その片隅で、だれにも見つかることなく、毎日膨大な量のギラついた情報を脳に取り込みながら、衰弱していく自分がいた。

私は一体何者なのか。
何ができるんだろうか。
飛び抜けた美貌も才能もない、けれどだれかに認めてもらいたい。
地位も権力も金もない、けれどだれかに愛されたい。

そうして弱音をSNSに吐き出しては、誰の目にも留まらず流れて消えていくむなしさに潰されそうだった。

だれもが「発信者」になることができたこの時代、「受信者」はいったいどこにいるのだろう?

何が素晴らしくて、何がつまらないのか。
何を、だれを信じたらいいのか。
私はだれに信じてもらえるのか。

だれかを受信し、だれかに受信してもらうプラットフォームを作れないものか。
そこでは、お互いが発信したものは流れて消えることなく、確実に存在する。

そう思いついた時に出逢ったのが「Vague Foyer」だった。

人は他者と交流し、交流したということを信じることでしか自分の存在を確信できない。
しかし、人は嘘をつく生き物だ。
心から湧き出た言葉をだれかに受け取ってもらい、だれかの言葉を受け取る、そんな簡単なことができないくらい脳を発達させてしまった。

Vague Foyer
=曖昧な待ち合わせ場所

自分が今ここに確かに生きていると実感するために、安心して送受信できる場所でありたい。

執筆:mao


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