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「Dies irae 〜Amantes amentes〜」の感想

枯れ落ちろ恋人 死骸を晒せ
Sophie, Welken Sie——Show a Corpse

私の愛で朽ちるあなたを 私だけが知っているから
Sophie, und weiß von nichts als nur: dich hab' ich lieb

創造
Briah―

死森の薔薇騎士
Der Rosenkavalier Schwarzwald

↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑ かっこよすぎる。↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑ 

・舞台設定/世界観/キャラクター/テキストetc.あらゆるものが「厨二」で構築されていて徹頭徹尾ゆらがない。常にサビ、どの√でも濃度が薄まらない。
この物語と相性が良くメロメロになっている自分ですら真相√終盤(礼愛√終盤の三つ巴の蓮フォルムチェンジ以降)は「やりすぎだろ」とちょっと笑った。

・減点方式なら0点になりうるけど、加点方式ならどこまでもいける作品。
苦手なキャラが出来ても、印象にないキャラはいないんじゃないかなー。老若男女ピーキーで魅力的。

・創作者自身が「面白い」と思わない創作物は読者も「面白い」と思わないと考えているが、本作はほんとうに厨二が好きで愛している人々によって作られた大作。浪漫のかたまり。ハマるひとは醒めない夢を見られる。

・プレイ時間は本編は多分30~40時間?サブエピソードも含めると+10時間くらいかも。骨の髄まで味わえてよかった、おもしろかったです。

・欲を言えば「学園伝奇バトルオペラ」と銘打っているので「学園」要素ももっと味わえたらよかった、序盤しか記憶がない。黒円卓が主人公側を正直食っているのもそれが影響していそう。


以降ネタバレ。

・振り返ると、メルクリウスとかいう大迷惑男が好きな少女に殺されたいがために繰り広げられた壮大オペラだった。

・攻略順は、香純(幼馴染)√→螢(敵の少女)√→マリィ(人外ヒロイン)√→玲愛(先輩)√。
攻略ロックかかってたかわからないけど大体みんなこの順だと思う。右に行くごとに真相が明かされる話、逆に言えば香純√は大隊長たちが登場しないので前座で終わる。

・正田崇氏のテキストはクセしかない。この方にしか書けない文章だけど如何せん回りくどい、くどい。でもそこが良かった。
ひとがひとを想う気持ち、男女の恋愛だけではなく女が女を慕う気持ちや男が男に負けたくないという感情など、性差や情緒の種類問わずあらゆる関係性が幕を展開していき、最終的に宇宙を揺るがす大スペクタクルにたどり着くオペラになるのが気持ちよかった。ミクロな物語がマクロになっていくのはいつだって気持ちいい。
公式サイトでカップル人気投票が展開されるくらい関係性に造詣が深かった。この関係性書いてないよね?がほぼ無かった気がする。代わりに主人公とヒロインの恋愛の推移は希薄、螢がいちばん恋愛やってた。


・Gユウスケ氏のグラフィックは美麗、絵柄も作品にこれ以上になく合ってる。老若男女かっこいいしバトルはエキサイティングだし少女は可憐だし厨二に重要なケレン味も満ちてる。魅力的な男のバリエーションがいくつもあるのが絵がうまいな~と思った。
紆余曲折あった作品なので絵柄の違いはあったけど許容範囲、逆に言えば初代絵をずっと使えるほど常にクオリティが高い。

・ボイスも良かった。この時代だからこその豪華キャストで実力も申し分ない。蓮とメルクリウス(とロートス)の鳥海劇場は圧巻、青い少年と狡猾な人外老人の演技が当たり前っちゃ当たり前だけど全然違って「声優さんってすげー」となった。ラインハルトもいい。あとベイのチンピラ演技も良い、こういう演技がつくとテキストにボイスが付く意味を感じられる。

以下はキャラ感想。
主にルサルカ√が無いのを嘆いています。

ここ好き。

特に好きなキャラ
→ルサルカ、シュライバー、ベイ。

特に好きな関係性
→ルサルカと蓮(とメルクリウスとロートス)、愛憎は表裏一体くるくるり混線関係性は琴線に触れる。
→エレオノーレとベアトリス。犬系後輩に調子を狂わされる苛烈なお姉様萌えー。螢√終盤のあとに礼愛√見るとカタルシスがえぐいよー。


・蓮はいわゆる「平成の主人公」の価値観で、男は女を守るもんだとか2006年初出の作品に古いと指摘するのもナンセンスなのでそんな気にならなかったけど苦手なひとは苦手だろうなーと思った、正統派主人公っぽい青さも相まって。
顔が良い、じゃなくて「顔がかわいい」と中性的な描写が強調されるのも平成主人公っぽい。わたしは「顔がかわいい」男に真剣なのでその点は良かった。というか蓮は結構すき。
というかルサルカ✕蓮√があると思ってたので、青さのある愚かで善良な男✕少女性のある愚かで悪辣な女、いいじゃん、の気持ちだったのが蓮への好感度に大きく影響してる。無いのかよ。

・攻略不可ヒロインに涙を流した経験があまり無かったが今作でわかった、ルサルカ√が無いのが、つらい。悲劇はあっても弁明の余地は無いヴィランなうえに、蓮は「敵とみなした相手に容赦しません。螢にしたって数度は殺されかかってるほど。なので(螢√以外の蓮の扱いとか)」とライター直々に書かれているので、ルサルカ√があったとしてもどうなるのか見当もつかない。ロートスとのそれっぽいのはあるけど蓮で見たい、顔と魂は同じでも同じじゃないから。

「蓮の人格形成元(魂)はロートス」
→「蓮(の容姿)=メルクリウス(の容姿)」
→「メルクリウスに”誰にも追いつけない”呪いをかけられて、彼に高みへの憧憬と憎悪を持っているルサルカ」
→「ルサルカが過去に密かな恋心を抱いたのはロートス」

上記の堂々巡り、めちゃくちゃ良いと思う。見たいよ~~~。

てか他作品のキャラになるんですが私はCCCのエリザベート(CCCは発売から10年近く経っているしFGO普及で正体バレていると思うのでネタバレします)が好きで、少女性と残虐性を併せ持った可憐な赤毛女が好みド真ん中なので始終ルサルカにはメロってた。

・あとシュライバーも好み。あきらかに全年齢では語れない過去トラウマ持ちで彼(彼女)を知りたいがためにR18版を購入しようか真剣に迷っている。

見た目が好みすぎる。

・カップル人気投票(WEB)の「ルサルカとシュライバーは黒円卓で料理がうまいナンバーワンとナンバーツー」はてっきり「料理(拷問)」の意と思ったら言葉通り?らしい。いいじゃん、と同時に、そういえば本編で印象的な食事シーンがあんまり無かった気がする。礼愛が変なサンドイッチ食べているとかルサルカとロートスのハッピー打ち上げの乾杯は覚えてるけど、全体的にそこは薄かった。そもそも黒円卓が食事を必要としない身体だから妥当なんだけど、主人公側の印象を濃くする手段としてもっとあっても良かったかもねーと思った。食事って人間くさい描写の王道だし、囲んでモノを食うって動物と人間の差異のひとつだし、日常だし。