夜と白

『蕪のなかの夜に』を読んでいる。

夜のなかの蕪、ではなく、蕪のなかの夜である。蕪は夜も白いのだろうか。夜の土はあたたかく、しめっているのだろうか。

坂道を祖父の後ろ姿が歩いていた。追い越して、そのまま、わたしは振り返らない。

詩のなかに短歌があるのだと思った。だけど、そうじゃないのかもしれない。それは途中まで短歌で、それなのに何食わぬ顔をして、その先へと続いている。

詩とか俳句とか短歌とか、そういうことで分類をしてしまうことに、あまり意味はないのかもしれない。

空を見上げると、細い月がひっそりと光っていた。


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白い付箋、黒い付箋を貼ってゆく 詩のなかの歌 蕪のなかの夜に