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EURO VOLLEY 2019 観戦記録14~終わりに…

無謀かな…と思いつつも賭けに出た
「ヨーロッパ選手権ファイナル観戦の旅」。
終わってみれば見事に見たかった
セルビアの優勝を現地で見届けられ、
大成功を収めました。

ただ、そこには喜び以上に
海外バレーを応援することの、
大きな意味を思い知らされる事態が待っており、
想像していた楽観的な喜びとは
大きくかけ離れたものでした。

優勝がこんなにも切ないものだとは…

だけど、経験してこそ知る思い、
そんな機会を与えてもらって
覚悟ができました。
行ってみないと見られない景色がある
感じられない思いがある…
まさに想像を超えるそんな大会でした。

と、書いていると悲観的に
取られるかもしれませんが、
大会が終わって、ドリームチームが発表され、
改めて思い返していくと
こんなに素晴らしい大会は
かつてなかったと感じています。

アタナシエビッチのエースで始まり、
ペトリッチのエースで終わった大会。
結果一度も負けずに、頂点へ上り詰めました。

誰が出ても活躍し、
みんながそれぞれにいい形で繋いでいき、
その一点一点、一試合一試合が
積み重なって辿り着いた最高の舞台…
そして金メダル。
2013年から一途にずっと夢見て応援してきて、
ようやく叶いました。
長かった…
いやー、長かったーっ!!

もちろん2016年のWL優勝もありましたが、
あれはやっぱり五輪前の調整にしているチームも多く、
胸を張って金メダルを獲ったとは
言えないものがありました。
そう、これで堂々と
セルビアの素晴らしさを語れるようになります(笑)。

惚れ込んで8年、
ついにヨーロッパの頂点に立った
私の愛するセルビアチーム!!

#1 オコリッチは昨季から
応援団長と化していたけど、
今回のスペイン戦で6本ものブロックを見せ
ホントに頼もしかった!
ピンチサーバーで使われることが多いけど、
しっかりミドルとしての存在感があることを
示してくれ、
スタメンを支える安心感を与えてくれました。

#2 コバチェビッチは文句なしのMVP、
もう、お兄ちゃんを超えたなー。
レセプションでゴロンと転がったまま
立ち上がれなかったクマのようなあの頃から、
すっかりチームを支える存在に。
サーブ時のライン踏み越しは
異常に多かったけど、それも彼らしいか(笑)。
これからもセルビアの重要な
ポイントゲッターとして支え続けてほしいです。

#4 キャプテン、ペトリッチは
遠慮がちだった今までと違って
コバチさんとの信頼関係からか、
チームの中での存在感が格段に上がりました。
そしてそれがパフォーマンスにも
しっかり表れてた!!
あの決勝マッチポイントの冷静さは
素晴らしい真のキャプテンの姿勢。
チームを支えるということは
こういうことなんだな…と見せてもらいました。

#5 チロビッチは出番が少なかったけど、
初代表でありながら、意表をつく攻撃力に
驚かされました。
カティッチの怪我きっかけで選ばれて
そのまま残ったチロビッチ、
ここからどう変貌するのかが
また楽しみでもあります。

#6 ぺコビッチが入ってくれたお陰で、
ディグ力が上がり、
全てが繋がるようになった気がします。
長きに渡って守り続けて来たセルビアの守護神
ロシッチの穴は相当大きいはずなのに
それをあの小さな体で…
正真正銘セルビアバレーの縁の下の力持ち。
喜び方もかつてのセルビアを
思い出せてくれるテンションの高さで
思いっきりツボでした(笑)。

#7 クルスマノビッチのブロックもサーブも
セルビアにはなくてはならないものだと
改めて感じました。
2大ミドルの陰に隠れてるけど、
いや、もっと活躍の場を与えていけば
絶対、スゴイ選手になる!!
一人時間差とか、ミドル好きの私にとって、
萌えポイント!
こんなにもワクワクさせられるプレーヤーなんだと
大会を通じて改めて感じました。

#8 イボビッチは、スタメンをキャプテンに譲り
存在感は今までよりなかったかもしれません。
でも、要所要所でレセプションを任され、
違った技術を求められ
新しい役割を全うしていたように思います。
スタメンではなく後発ができるベテラン。
ペトリッチとはタイプの違うアウトサイドで
いつ出番を任されても仕事ができる職人の
片鱗をうかがわせました。

#9 ヨボビッチには個人的にMVPを送りたい!!
今までのように守りに入っていない
自由なパフォーマンス。
こういうこともできるんだ、
ここ行っちゃう!?
というこれまでにはない
トスワークに何度も驚かされました。
空中で待ち構えるリシナツへのクイック、
もう最高!!!!!
そして毎試合確実にブロックポイントも。
ネット際の攻防も上手さを見せ、
一皮も二皮も剥けた気がしました。

#14 アタナシエビッチ…いやー、
ほんっとに強くなりました!!
あのウクライナ戦の逆転劇
あれは私の観戦史上一二を争うシーンです。
チームが苦しい時、誰も状況を打破できず
ずるずる行ってしまうセルビアの悪い癖に
かつてない爆発力で連続エース、連続得点。
もしあれがなかったら、
セルビアは準決勝に届かず敗退していたかもしれません。
ホームの温かい空気の中や優勢時に
いいパフォーマンスができるエースは
いっぱいいるけど、
劣勢でこんなことができるエースは、
そうそういない。
これがファイナルだったら
絶対MVP!(笑)

#16 ルブリッチは前回大会でスタメンとして戦い、
その裏で、こう言っていました。
「自分がアタナシエビッチより
勝ってるとは思っていない、
でも、監督が選んだからには力を尽くす」と。
そんな謙虚さの中で、
彼なりの頼もしさを身に付け
ホントに逞しくなりました。
アタナシエビッチにはない冷静さは
スタメンチームのピンチを救えるし、
サーブだってアタナシエビッチには
決して引けを取らない。
この2人のオポジットのバランスは
今、とってもいい具合。
最後に2人が固くハグしてるのを見て
2年前の確執からのドラマが蘇り
胸アツでした。

#17 マイストロビッチはチーム内、
一番犠牲を払った選手と言っても
過言ではないでしょう。
世界のバレー市場で稼げる
アウトサイドスパイカーから
稼げないことを分かっていて
セルビアのために
リベロになったと言っていた彼。
最初は専門外だから
苦しい場面もいっぱいありました…
けど、いつの間にかファインセーブも
自然になっていった…。
彼のナショナルチームにかける思いは
周りの選手たちとはまた違う…
強い覚悟で常にチームを守ってくれていたのです。

#18 ポドラスチャニンの威圧感、存在感は
やっぱり大きかった!!
OQTは手術後で出られなかった分、
今回それを改めて感じました。
代表歴長くて、いるだけで安心感あって
ムードメーカーで盛り上げられる。
もちろん数字もちゃんと出してる!
ドリームチームには選ばれなかったけど、
チームの中の役割はホントに大きくて、
裏番長的な影のキャプテン(笑)。
彼が抜けた後を思うと本当に怖くなります。

#20 リシナツ…もう彼ほどの努力家を
私は見たことはありません。
そしてそれが今回大会を通して、
表れていた気がします。
ここ最近、サーブもブロックも
パッとしないな…
ピーク超えちゃったかな…って思っていたけど、
献身的にコミットでブロックに飛び
彼のブロック本数の数字に表れなくても、
相手にプレッシャーは確実に与えてた。
クイックのおとりも手を抜かないし、
ずっと努力し続けていたディグ力も
トスアップも、効果を発揮してた。
そして何よりサーブ!
アタナシエビッチの爆発力!とは正反対で
低迷しそうなときに離されまいと
常に引き上げ続けてきた
あの地道に支えるサーブ力。
努力は報われる…それを証明してくれたように思います。

#21 トドロビッチは今回ガチの国際試合は初。
OQTでは19歳バタクが控えセッターに抜擢され
心もとない部分もあったけど、
今回は安心して交代を見ていられました。
きっとヨボビッチもそうだったんじゃないかな…
控えとしてしっかり支えられることも
コートのパフォーマンスと同じくらい
重要だと思うのです。

そして監督のコバチさん。
ずっとずっとやりたかったという
自国の代表監督として、
この才能あふれる選手たちを
一番いい形で生かしてくれました。
グルビッチ前監督が悪いわけではなく
彼は彼で有能だったと思います。
でも、生かすことにおいては
コバチさんの方が合っていた。
思い返せばペルージャの監督時代に
試合後選手やファンが集まるレストランで
深夜遅くまでサポーターに
バレーについて温かい表情で
語っていたコバチさん。
またここでコバチ監督のチームを
応援できることがホントに嬉しく
一緒に金メダルをお祝いできて幸せでした。

長かった8年間のセルビア応援。
悲しく情けない試合もいっぱいありました。
なんで勝てないんだ!と
苛立ったり落ち込んだり、恥ずかしながら
相手チームを憎むようにまでなりました。
信じ続けながらも叶わなかったこれらの日々…
このたくさんの不運や挫折があったからこそ、
いっぱい悔しい思いをしてきたからこそ、
今、金メダル獲得の価値を重く感じ、
壮大な幸せを味わえます。

「過ぎ行く時の中で無駄なものはなかった…」

大好きな曲の歌詞が
あまりにもこの思いに重なって
ずっとずっと頭の中でリピートしています。

8年間の波乱万丈な思い出が今、
幸せな思い出に繋がり、
一つの大きな素晴らしい軌跡になりました。
これは私の人生の大切な物語として、
心に残り続けるでしょう…

画像1

…完。

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