パリオリンピック観戦旅9~SRBvsCAN①
21:00からの試合開始に先駆け、1時間半前に会場へ入ろうと列に並んでいたら、セルビアのバスがちょうど横の道路を通り過ぎ、思いがけず入り待ちのようになってしまいました。こんなところで観られるなんてラッキー!と思っていたら、セキュリティゲートをくぐる際にはセルビアのスタッフさんと遭遇。お久しぶり…とスタッフさんに挨拶をし、強い声援を送ることをここで誓い、気合を入れて会場入りしました。
前回のスロヴェニア戦では既に多くのお客さんが入っており、ゆっくりフロアを見て回れなかったので、今回はしっかり拝見。
食べ物屋さんやグッズ売り場があり、グッズは見たことのないものが沢山並んでいました。興味本位でさらっと眺めたら、またまた今回も練習用コートの前へ…。まだ全員が揃っていないコート。選手の登場前から張り付いて、待たせてもらいました。
前回と同様に和やかなムードのセルビア選手たち。ですが、この日に限ってはアタナシエビッチが、いつもと違って笑顔に緩さがなく、集中している様子。やはり代表最後の試合、思い入れも一入なのだと実感。もしかしてスタメン起用だったりするのかな…。ふっとそんな思いが過りました。
前回の失敗を生かし、今回は早めに客席へと移動。、慌てることなくしっかり腰を下ろして、チームの入場を待ちます。ちょうど入場を待つ選手が列になって並んでいる様子が観られる席で、口数少なく待機している選手を見ながら、五輪の最後となるこの試合への緊張の高まりを感じました。
いよいよ始まる五輪予選最後のセルビア対カナダ。
正直、勝敗よりも五輪でプレーする選手たちの姿を、しっかり目に焼き付けて、今回は応援よりも記録のために写真をいっぱい取ろうと思っていました。ついつい応援に力を注いで、肝心な選手のパフォーマンスをじっくり見れなくなってしまう性質(タチ)なので、今回は思い出を残す方を優先に。だって、ポドラスチャニンもアタナシエビッチもこれが最後の代表ユニフォーム姿となるのです。もう次はありません。見たくてもセルビア国旗マークの付いた姿は見られないのです。だから写真撮影に専念。
ですが…
スタメンが発表された瞬間、カメラどころか、コートを直視できなくなってしまいました。
名前が呼ばれていくセルビアチームのスターティングメンバ―。
7番クルスマノビッチが呼ばれ、いつものガチメンではないことを悟ります。8番イボビッチ、10番クユンジッチと続き、次に呼ばれたのは…14番アタナシエビッチ! それを見た瞬間、私の涙腺は崩壊。一気に涙が溢れ出しました。ガチメンで勝ちに行くなら、オポジットにはルブリッチを選ぶはずでしょうが、敢えてラストを飾らせようとアタナシエビッチを選んでくれたコラコビッチ。それを思うと胸が熱くなり、前を向くことができませんでした。
もちろんポドラスチャニンもスタメンで登場。消化試合だし、これまで主力で出続けた36歳のポドラスチャニンをここでわざわざ出す必要はなかったはず…。ですが、そこはラストの舞台。コラコビッチの考えていることが分からないことが多いのですが、今回のアタナシエビッチ、ポドラスチャニン起用には監督の想いを感じました。
グルビッチ、コバッチ監督時代もありましたが、一番長く関わってきた監督で、思いもきっと深いと思います。最後に2人を起用してくれたコラコビッチには心から感謝。と言いつつ、欲を言えば…同じ時代を過ぎしてきたウロシュとヨボビッチも一緒にコートに立たせてくれたら、言うことはなかったかな…なんて(笑)。まぁ、完全にエキシビジョンにはできないので、そこまでは言えません。
でも…不思議に思っていることがありました。なぜ、コラコビッチは「ヨボビッチとルブリッチ」、「トドロビッチとアタナシエビッチ」というふうに、ペアを完全に固定するのか…と。ジュニアのころから一緒にやってきたヨボビッチなら、もっとアタナシエビッチを上手く活かせるのではないかと…思ってしまうのです。これは私たちファン仲間でずっと疑問に思っていたことなのですが、この局面で友人が、その謎を解き明かしました。
「そうか!ヨボビッチは自分で声出して盛り上げられるけど、トドロビッチはできないから盛り上げられるアタナシエビッチと組ませるのか!」
それを聞いて、なるほど~!!!と納得。確かにルブリッチとトドロビッチでは、コート内を盛り上げるには難しい時があります。ん、でもアタナシエビッチとヨボビッチを一緒に投入したら最強なのでは!?やはりどうしてもそこに戻ってしまうのでした(笑)。
役者の揃ったセルビアチーム。これでフィナーレを迎えます。
2人の最後を思うと涙は止まらず、コートに立つ姿を見ているだけで泣けてしまって、観戦どころではなくなってしまいました。写真なんてもってのほか…。でもどうすることもできずに、そこに居るだけの状態。第1セット、第2セットは、まさにテレビ画面を見ているように漠然としていて、ホントに記憶がありません。やられ続けるセルビアチームに苦しくなるはずなのに、それさえも感じぬまま、そこにいました。
10へつづく…