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2020/12/1 農業政策論 「アメリカ農業政策」

 アメリカの農業政策について第一回目の授業。
アメリカの農業と言うと、中西部「コーンベルト」のような飼料生産を中心とした、超大規模経営をイメージするが、総農場数の80%は年間販売額100,000 $未満の農家。販売額なので、所得としては半分程だろうか?しかし、この農家は経営面積では40%、生産額では10%強程度しか生み出していない。
 逆を返せば、20%の販売額100,000$を超す大型農場が、60%の経営面積で90%の生産額を稼いでいる。この中には、イメージする超大規模経営農場の他、企業が運営する農場が含まれている。

 この、「20%が90%を稼ぐ」。「お金がある所にお金が集まる」とはよく言ったもので、限られたプレイヤーが成果の多くを占めるというのはよく耳にする話ではあるが、「60%の経営面積で90%を稼ぐ」が気になる点。「密度」による効率化か、「速度」による効率化が考えられる。

 まず「密度」。年間100,000$未満の農家とそれ以上の農家によって、作付け密度が違うというのは違和感。身長170cm・体重65kgの人間であれば、豪邸でもワンルームでも、生きるために必要な面積は変わらないのと同様、同じ農作物1株当たりの作付け面積に大きな差はないだろう。ならば、少ない面積で収入を上げるためには、播種から収穫までの生育期間短縮や歩留り向上が考えられる。そこに要因を求めると、遺伝子組み換え品種(GM品種)や農薬による効果が想像される。

 先週、本授業と同教授による「アグリフードシステム論」の授業において、1990~近年において、ブラジルが「穀物」「畜産」の大輸出国に至るプロセスについての学びがあったが、ここに重なる部分がある。そのプロセスは以下。
1.1970年代から中西部「セラード(閉ざされた)」と呼ばれる地帯を
  開拓し大豆生産
2.乾燥地帯セラードに耐えうる品種に改良
3.成長が早まるよう、GM品種の開発
4.「3」により、大豆・トウモロコシの二毛作達成。穀物輸出大国へ
5.国産の安い穀物確保=鳥・豚が育つ。
  セラードにより放牧場確保=牛が育つ。畜産も輸出大国へ
 このプロセスのポイント、「GM品種による二毛作」を支えたのは、米モンサント(現バイエル)といったアグロインダストリーであった。

 時を戻して、農業政策論授業としては、保護政策に話が推移していくが、当ブログではGM品種についてもう少し。
 先週の日経ビジネス「食糧危機という勝機」(2020/11/23)において、「ほとんどの植物を枯れさせる農薬を販売し、その農薬にも枯れない穀物種子を売る」前述バイエルのビジネスモデルに言及するコメントがあった。
 そんなGM品種は摂取していいの?いや既に摂取している?
 コロナワクチンも同様、摂取において個人で適正な判断ができない問題であり、同時に避けれない問題でもある。
 子供の事を考えると非常に悩ましい。

 最後に少し明るい話題。前述のブラジル農業発展の「1」、セラード開拓だが、「日伯セラード農業開発協力事業」として、日本の技術者と資金が大きく寄与した。資金面もさることながら、「技術」の貢献を誇りに思う。「閉ざされた」という意味を持つセラードに、種々の課題を解決し、大豆に着目して発展の基礎を作った。自国第一主義が横行する中、この精神は忘れたくない。

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