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“戦争放棄“で国を守れるか?という話題について[前編]


ロシアのウクライナ侵攻を受けて、急に日本のSNSで憲法9条不要論が湧き上がった。
どう頭をひねっても今のウクライナの現状と世界唯一の戦力不保持の誓いを憲法に持つ日本を比較する論点がわからずにいたら、“哲学系YouTuberじゅんちゃん“の「哲学入門チャンネル」でこのように語っていた。(以下書き起こし)

「憲法9条を変えたい」ってのは別にいいと思います。
ただ少なくとも「憲法9条があっても戦争は防げない。平和は守れない。」っていう結論は論理的思考力が小学生レベルでもあればわかる話で憲法9条がないところで今戦争が起きてるわけじゃないですか。。9条がないところで戦争が起きてるのに「9条改正しないと平和は守れない」ってもうそれ火事場泥棒以外の何者でもないと思うんです。
 私もですね「憲法9条さえあれば!」とか「対話さえすれば!」とかは思わないしそんなことはまともな知能があれば言ってる人いないわけですよ。

 何度も言うように憲法9条というのは、自国の馬鹿を縛るためにあるものであって他国のことをどうこうできないというのはわかる話ですよ。
 しかしそれ以前の話としてウクライナで起きていることを見てですね「憲法9条があっても国を守れない」って言うのは妄想が激しすぎるという結論しか出せないと思うんですよ。
 これはだから以前からもお話ししてる、マルクス主義者がなんでも「ブルジョアが悪い」って言ってるのと脳内構造が基本的に同じで、何があっても「憲法9条のせいだ」って言うのと同じですよね。
元のYouTube動画のリンク↓
「ウクライナ・ロシアの緊迫情勢を橋下徹、三浦瑠麗、ほんこんに語らせる日本のタレント不足」

つまり、今回のロシアの侵攻で唐突に憲法談義が持ち上がったのはテレビに出演した橋下徹などの保守系タレントの発言に端を発したようだ。
他所の惨事にかこつけて軍拡路線に舵を切りたいと息巻く右派がここぞとばかりに保守系/愛国タレントらの発言に乗っかって平和憲法を叩くという構図が見えてきた。
9条の是否なんて今起きている侵攻を止めるには無意味な議論だし、左派から今急いで積極的に話題にする意味もないはずだ。動画内でこうも話す。↓

憲法というものは、マグナカルタ以降一度として歴史上本質は変わっていません。他国を押さえつける効力はないし、そんなこと狙って作ってもいません。国家権力を縛るためにあるんですね。これを立憲主義というわけです。立憲主義でアメリカとかロシアを縛れるわけねえだろという当たり前の話なんですけど、そういうことが当たり前でなくなるようなデマゴーグたちが出てきている。
「憲法9条さえあれば一切戦争にならない」なんて、界隈からすれば極左と呼ばれるような人たちでさえも述べていない話。

以上の動画は18分ほどあるが、切れ味の良い語り口でどこから見てもスムーズに聞ける。

ついでに見て欲しいツイートがある。
娘を疎開させて自分は国の戦いのために残るウクライナのお父さんの表情である。
短い映像にも、父の嗚咽が心につき刺さってくる。。

https://twitter.com/bhavishapatel/status/1496882754935398408?s=21


こんな光景はもう見たくない。誰の身に起こるのも。
私が娘なら、離れて国の英雄になる父よりも生きて自分と家族のそばにいてくれる父がいい。(涙)たとえば安月給でごくつぶしと言われるような父であってもだ。

「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」
9条ってこういう状況もすべて放棄すると国に約束させるものではないか。。

圧倒的に強い相手に対して弱い者は、力で立ち向かう方法だけが万策ではなく、頭を使ってかわす、逃げる、他人の力に頼るなど、他の得策を追求した方がいいことが多い。
自分の子どもが無法ないじめっ子にやられたら「いざとなればこれで脅せ」とナイフを持たせる親はいい親だろうか。国民にそういうことをさせようとする者が愛国を説く。

こういう例えを出すと、「子どものいじめと国際政治を同じ地平で語るな。」と決まって出てくる反論は、物事を複雑化して構造を見えにくくするだけだ。さらに「政治はそんなに単純な物ではない。」と意見を丸め込む。まるで政治は選ばれた男性の世界の複雑な取引で、女や子どもの発想ではわからないと結論づけたいかのように。しかし政治は遠くのエリートたちのまつりごとではない。政治とは私たちの日常の維持のことで、子どもの喧嘩レベルから職場の人間関係から国家の紛争レベルまですべての人間の社会生活に横たわるものである。一人でいても政治と無関係に生きることはできないが、二人の人間が一緒に生活すればそこにもう一つの政治が生まれる。違う文化背景を融合させたり、駆け引きしたり、良い関係を維持したりするための技術やルール作りがすべて政治の本質だ。小学生の政治教育でも急に社会・公民の教科的知識から学ぶのではなく自分の身の周りの小集団のことや倫理的問題から学ぶことが多い。だから国際情勢を見る時も、子どもにも理解できるように考えることが重要だと思う。


本記事では、「“戦争放棄“を謳った憲法9条では国を守れない」と、最近噴出した意見に対する考え方の例を紹介した。

次の記事で、ロシアのウクライナ侵攻に付随して飛び出してきた“核シェアリング“という発想に対する意見を同じく「哲学入門チャンネル」の動画 「嘘つき橋下徹と安倍晋三が公共の電波で防衛論を語ることこそが安全保障の脅威」 を通して紹介する。



#憲法 #戦争放棄 #戦争反対 #9条


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