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男装女子について語る(再掲)

※こちらは以前FANBOXで公開した記事です。

ごきげんよう!
かとりーなです!

兼ねてからよくお話ししていたのですが、私は「男装女子」が大好きでして…。
今日はその魅力と、お仕事で描かせていただく時の個人的こだわりを皆様にご紹介したいと考えております!
どうぞ最後までお付き合いください!逃げるな!!!


分類

一般的にイメージされるものがふたつあるんじゃないかと考えております。
それは「イケメン女子」と「男装女子」です。
これはよく考えたら全然違うんですが、結構混同されがちです。

まずは「イケメン女子」。

こちらはいわゆる「女の子たちにキャーキャー言われるタイプの女子」です。
学生キャラであれば、ボトムスはスカートであることがほとんどです。
まるで王子様のように魅力的な仕草で、周囲の女の子たちを落としていきます。
ただあくまでも「イケメン女子」なので、周囲の女の子たちも彼女が女子であるということを理解しているのです。
理解した上でキャーキャー言っています。
アイドルみたいなものですね。

そして「男装女子」。

文字通り「男装」しているので、学生キャラの場合はスカートではなく、多くの男子生徒と同じ制服になります。
何故男装しているかといった事情は多種多様です。
・男として育てられた
・女子生徒の制服が苦手
・男のふりをしなくてはならない
などなど…
そして周囲から「あの子は男子生徒の制服を着てるから」と思われているのか、「あの子は男子」と思われているのかも異なります
夢に溢れているんですね。


難しいところ

お仕事で男装ヒロインを描かせていただいたことが何度かありますが、ひとりは「男子として育てられた男装女子(周囲からの認識:男子)」であり、ひとりは「スカートが苦手だから男装女子(周囲からの認識:女子(身近な人のみ))」でした。

ただ、私がお仕事で描かせていただいているのは、いわゆる男性向けラブコメ(男女の恋愛)です。
うっかり私がその男装女子をかっこよく描きすぎてしまうと、「なーんだ、ボーイズラブなのか」となってしまう可能性が上がり、視聴者層的に見ていただくことすら叶わない場合もあります
ただ、「周囲からキャーキャー言われる男装女子」でもあるので、かっこよく描く必要は最低限あるわけです。

そこの加減がねぇ…難しくてねぇ…。

果たしてちゃんと「視聴者層の大部分を占める「男性向けラブコメが好きな男性」にも「この子はヒロインだ」として認識してもらえているのか」というのは分かりません。
だって私、いわゆる男性向けの畑で育った作物ではないので…。
つまり「畑違い」ってやつですね。

ちなみに私が育ってきたいわゆる女性向け畑には、大まかに見た感じ「男女カップル」もあれば「男性同士カップル(BL)」もある感じですが、私は後者の畑も畑違いなので…さらにややこしいことになりますね。
(これはあくまでも私の意見ですが、いわゆる「男性向け」の中ではさほど区切りがあるように感じられないのに、いわゆる「女性向け」の中では何故主に「女オタク(一般的)」「腐女子(男性キャラ同士の恋愛が好き)」「夢女子(男性キャラとオリジナル女性キャラ(創作/自分自身)の恋愛が好き)」などに分類されるのでしょうか。男性向け畑の中でも分類はあるのでしょうか、ここまで明確じゃない気もします。)

今上の注釈を書いていてひとつ思い出したことがあります。

そう、私は「腐女子」ではなく「夢女子」寄りの人間です。

すくすくと育ってきた畑は「夢女子」畑でした。

なので「主人公男子と男装女子の恋愛を描く時に、「なーんだ、ボーイズラブなのか」と視聴者さんに思われてしまうと、上手く描けなかった挙句自分の畑違いのところに分類されてしまった…」という展開になります。
これが私にとって最も「どうしようもない展開」です。
もともとBL絵描きさんなら「癖(ヘキ)が…出ちまったな…へへ…」となれるんですが、そうではないので…。

そのため男装女子回を描かせていただく時は、
・しっかりキャーキャー言われるような男装女子になっているか
・男性視聴者さんたちから見て「ヒロイン」と認識されるか
・ボーイズラブだと判断されないか
が重要となってきます。
視聴者層の多くが女性なのであれば、おそらく最後の「ボーイズラブだと判断されないか」が消えます。
むしろ喜んでいただける方々が増えるかもしれないからですね。
ただ私がお仕事をいただいている先の多くの視聴者さんは、おそらくそちらを望まれない方々が多そう…?なので、男装女子回は大好きでもいつも頭を悩ませている次第です。

個人的こだわり

苦肉の策で生み出した策のひとつが「まつ毛を描く」です。

昨今は大手ジャンルでも男性キャラにまつ毛が描写されるのは当たり前になってきておりますが、私の絵柄では男性キャラにまつ毛を描くことはあまりありません。(既存のまつ毛有り男性キャラを描く場合は別)
なので「男性キャラにまつ毛を描かない絵師がまつ毛を描いてるということは、つまりそういうことだよ!!」のアピールをしているつもりです。
伝わっているかどうかは知らん。

そしてもうひとつの策は「首の描き分け・比較」です。

男装女子だけが描かれている場合は判断できませんが、お仕事で描かせていただいているものは「男女の恋愛物語」なので、主人公男子がいるわけです。
主人公男子の首を、当社比でゴリゴリにします。
主人公が社会人男性だった時にのみ両方描いている「首の筋」と「喉仏」を、高校生男子だったとしても描きます。
そして男装女子の方はその両方を(もちろん)描かず、やや細めの首にします。
逆に主人公男子が何らかの理由で女装している場合も見分け方は同じです。


まとめ

世の中本当にたくさんの方々がいらっしゃいます。
好きなものや苦手なものも千差万別です。
「好きなもの」や「まあ別に平気なもの」が重なる分には大丈夫ですが、「苦手なもの」や「嫌悪感を覚えるもの」が重なってしまうと、あまり良い気分にはならないですよね。
全員に好かれるということはほぼ無理と言っても過言ではないと思いますが、少しでも皆様が楽しんでいただけるような絵を描けたら良いなと考えています。
私も引き続き、畑違いのものは持ち込まないように気をつけます。
作物はきっと、土壌が変わると育ちも変わってしまうと思うので。
育つ前に土が変わる分には良いのですが、ある程度育ってからだと「違う土ー!!!」になっちゃいますもんね。

ちなみに私は置かれた場所で咲きたいと考えているので、その限りではありません。(熱い手の平返し)

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