私が感じたソーシャルVRが産み出した可能性


はじめに

この記事はバーチャル美少女ねむさんが調査、発表した『ソーシャルVRライフスタイル調査2023』に触発され、note投稿企画「仮想現実での生き方」為に書いた記事です。

前半では、『ソーシャルVRライフスタイル調査2023』の中の私が気になったアバターについての統計の感想を載せ、後半ではそれを踏まえて、メタバースの可能性についての自分なりに考えた事を掲載します。


ソーシャルVRでのアバターの種類の比率ついての考察

アバターの種類の比率ついての分析

結論から言えば、ソーシャルVRでは女性(厳密には二次元美少女)やケモミミなどのかわいいアバターの使用が多く、ソーシャルVRの利用者数とこのアンケート調査のサンプルによって、それが普遍的な嗜好と言えます。

具体的な調査結果によれば、現実の男女ともに大多数が女性アバターを使用し、アバター種族という分類では人間、ケモミミなどの亜人間アバターの使用が多いそうです。

女性アバターの優位性は2年前にねむさんが実施した同コンセプトの調査でも同じで、そればかりかcluster、NeosVRという前回の調査では女性アバターの使用率が低かったソーシャルVRでも増加していました。

また、あしやまひろこさんが別の手法で行った調査(VRChatのイベント集合写真におけるアバター構成の分析)でも同じようなアバター比率になっており、この調査の正しさを裏付けています。

前回と今回の調査で女性アバター、亜人間アバター、人間アバターの優位性が明らかになりましたが、前回と違い今回ではカジュアル層の参入によりソーシャルVRの人口が増え、このアンケート調査も広く拡散し、メタバース原住民以外のカジュアル層の回答が増えた事(気軽に始められるclusterのユーザー数の増加が調査に現れている事がそれを示唆)を考えると、その嗜好はメタバース原住民以外のカジュアル層にもあり、人間にとって普遍的な嗜好であると結論付けられます。

アバターの種類の比率の理由の推測

その理由として、女性が物理現実での制約、利便性の為にズボンを履くのと逆に物理現実のような制約がない原則的にどんな姿でも何でもできる事を目指すソーシャルVRでは外見をコミュニケーションのしやすさ、見た目の良さに全振りする事ができ、その条件を満たす女性アバター、亜人間アバターが増加すると推測されます。また、ソーシャルVRでは従来のゲーム、SNSと違い、空間上で接触する事ができ、接触しても不快にならない、むしろ接触が楽しめるアバターがソーシャルVRの特性と相性が良いと言えます。その観点からもそれを満たす女性アバターが多くなる事を説明できると思います。


二次元美少女と美少女アバターの人類にとっての意味とそれがもたらす未来

ソーシャルVRでの美少女アバターの多さの意味

ソーシャルVRでの女性アバター(二次元美少女アバター)の多さは人類にとっての二次元美少女表象の意味を解明するヒントを与えてくれます。

第一に二次元美少女は生物学的女性を指すものでも男性的主体と対人性愛的アナロジーで結び付けられる客体でもなく、全人類に与えられた可能性で主体的な選択という事がわかります。二次元美少女が可能性で主体的な選択とは具体的には、二次元美少女の視点が自分達の視点であり、彼女達の苦しみは自分達の苦しみであり、彼女達の楽しみは自分達の楽しみで、要するに自分達が彼女達そのものになるという事です。もし、二次元美少女が客体、生物学的女性ならば、男性は二次元美少女になる事よりも見る事の方を好むので、主体の選択である男性の美少女アバターの使用率がこんなにも高くなかったと推察されます。

二次元美少女が客体、生物学的女性であると勘違いされた理由はメタバース以前は制約のある物理現実の模倣であると物語世界が勘違いされ、生物学的女性に二次元美少女を当てはめたからと推測できます。 

二次元美少女と美少女アバターが人類にもたらす未来

メタバースにより、二次元美少女が自分の可能性と気づき、それを発揮できるようになった今、どんな未来、展望が待ち構えているのでしょうか。

例えば、二次元美少女という表象が生物学的女性に限らず、全ての人間のなりうる姿として認識される未来かもしれません。なぜなら、全ての人間が選択によって二次元美少女になれるのなら、逆に言えば二次元美少女は自らの選択によってその道を歩んだ人間の集合になるからです。

その事によって、創作でも二次元美少女に女子高生などの女性に関連する設定以外の多様な設定を付加する事ができるようになり(実際にはそれはもうできるのですが、ここで言うできるは現実レベルで真剣が考える事を指します)、男性が美少女アバターを使用する所謂「バ美肉おじさん」も当たり前の事して受け入れると推測されます。さらに言えば、二次元美少女を指すのに「二次元美少女」という特定の性別、年齢を関連付ける言葉は使われなくなり、もっとニュートラルな言葉が使われるようになると推測されます。

また、二次元美少女という可愛らしい存在になりうる自分達を守りたいと思い、自分達を大切にするのと同時に、相手に対しても自分達同様の存在と考え、相手に優しくなるような未来が訪れると推測されます。

どんな姿、どんな相手でもお互いにコミュニケーションに特化した形態である二次元美少女になる事で打ち解ける事ができ、二次元美少女は多様性の接着剤として働くでしょう。

上記の二次元美少女を自分達のなりうる姿とする事のメリットを現実世界でも活用、実現するべく、XR技術が進歩すると推測されます。


おわりに

私が感じたメタバースの可能性はメタバース全体の可能性のほんの一端です。しかし、一方でその可能性は人類にとって重要なものであると確信しています。



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