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和の心コズミックスピリット62/自然と戯れるゆとりある生活を楽しんでいる日本の農民

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■日本美に感嘆する西洋人達


アジアは汚く社会も混沌としていると思っていた西洋人の多くにとって、日本は美的にも社会的にもその例外と見えたのです。しかし日本の美を知れば知るほど西洋の人々は西洋社会にはない美意識を感じざるを得ませんでした。

この道路に面した百姓家は絵のように美しく、とても実利一点張りの用途を持ちものとは思えない。現実の住みかというよりは、むしろ今まさに巻いて片づけようとする舞台用の絵のようなのだ

アメリカの著述家、エライザ・ルアマー・シッドモア『日本・人力車旅情』恩地光夫訳

日本人は何と自然を塾愛しているのだろう。何と自然の美を利用することをよく知っているのだろう。安楽で静かで幸福な生活、大それた欲望を持たず、競争もせず、穏やかな感覚と慎しやかな物質的満足感に満ちた生活を何と上手に組み立てることを知っているのだろう

フランスの実業家、エミール・ギメ/『1876ボンジュールかながわ』青木啓輔訳

わたしは、日本人以上に自然の美について敏感な国民を知らない

フランスの青年貴族、リュドヴィック・ボーヴァワール/『ジャポン1967年』綾部友治郎訳


■自然と戯れるゆとりある生活を楽しんでいる日本人の農民


明治5年(1872年)明治政府のお雇い外国人として来日したフランス人弁護士のジョルジュ・ブスケは日本人が自然を愛でるあり方を見て「素朴にしてほとんど度外れというべき愛」であり、それが「日本精神の支配的性質」であると述べています。

日本人の自然に対する感情は、彼らが愛と認識するような意識的感情とは少し違う気がしますが、日本人の行動の前提には自然界とのつながりがあるという点において、ブスケの言葉は日本人の性質を言い当てていたように思えます。

オーストリアの外交官ヒューブナーは西洋では美的感覚は教育によってのみ形成されるのに対し、日本ではそうでないことに気付き、強い関心を示しています。

また西洋の農民と比べ日本の農民の方がはるかに豊かな美的感覚を持って入るのは、西洋の農民のようには労働に追われず、自然と戯れるゆとりあり生活を楽しんでいるからであると言っています。

いかに日本人がゆったりとした生活していたかについては、アメリカの動物学者、E・モースやアメリカの著述家、E・シッドモアも次のように語っています。

この国の人々が、美しい景色をいかにたのしむかを見ることは興味がある。誇張することなしに、我国の100倍もの人々が、美しい雲の効果や、蓮の花や、公園や庭園をたのしむのが見られる

モース『日本その日その日』

この小さな村里を訪れる者が一日千人ということも珍しくない。…人混みなのに、万事が気品あり、落着きがあり、きちんとしている。枝もたわわな花の下に腰を掛け、沈思、夢想にふける人。梅花に寄せて一句を物し、書き留めた紙片を枝に結びつける人。こうした日本的な耽美ほどあか抜けた悦楽はない

『日本・人力車旅情』

(続く)


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