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ブロックチェーン革命㉒

9章 分散型自律組織はいかなる未来を作るか②

ⅲ 法制度が対応できるか

<訴える相手がいない>

人手をほぼ介さない組織がすでに稼働していますが、この対象に現在の法体系が対応できるのでしょうか?
事業に管理者がいないことは従来の法体系が想定しない事態であり、問題が起きた場合誰を訴えればいいのでしょうか?
ビットコインで問題が起きた場合、訴えられるべきはビットコインのプロトコルを書いた人?
それともマイニング作業を行っているコンピューター? それともビットコインを購入し取引している人?

どれも適切ではないように思われます。これらの人々は全世界中に散らばっているので捕まえようがありません。
責任主体が存在しないので、インターネットの使用を全面的に禁止しない限り事業の閉鎖が不可能なのです。
自律運転の自動車についても、類似の議論がされており、自律運転車が事故を起こした場合訴えるべき相手は誰なのでしょうか?
その自動車を設計した人? 製造した人? それとも乗客? という問題です。

これは難しい問題ですが、自律運転車の場合にはその自動車を所有している人がいるのでその人は責任を免れることはできません。
問題は自律運転車のレンタカーがDAOで運営されていた場合です。事業主体が存在しない対象に責任を求めるのでしょうか?
シェアリングの場合は供給者と消費者の区別ができなくなったという問題が指摘されました。
普通の人々が供給者になったので、これまでの法体系との間で齟齬が起きたました。
現在の法体系ではDAOの存在を想定していないので、以上で述べた問題に対処できません。
従来の社会の基本的な仕組みは、事業は人間が運営するという大前提で成り立っています。DAOはその前提を覆してしまうのです。


<適法性の判断がなされていない>

社会を改革し改善すると評価されたDAOでも、現行法制上では合法的なものとはみなされません。
例えば、現時点ではクラウドセールの合法性には結論がありません。トークンが有価証券だとみなされる可能性があります
クラウドセールは未公開の株式を配っているのと同じとみなされ、違法と判断される可能性もあります
現状では投資するのであれば自己責任になります。
予測市場の場合もその事業が合法的かどうかは定かではありません。
DAOは始まったばかりなので投資の安全性は保障されていません。
問題は沢山あります。ですが、日本もいずれ対応を迫られます。実際クラウドセールも予測市場もインターネットに国境はないのだから、日本から参加することは容易にできるのです。
法制上の問題の位置づけもあります。DAOで行われている事業は所得税や法人税などは払わなくていいのか?
マイナーを従業員であると考えれば、彼らの社会保障負担はどうなるのか? 等々です。
DAOはすでに登場しており、巨額の資金調達に成功している例もあります。法制度の対応は急務です。



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