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和の心コズミックスピリット㉛

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■日常の振る舞いはマナーはなく霊的な意味で重視される


『振る舞い』という言葉は『振る』という言葉から生まれています。たとえば古代の和歌には、若い男女がわかれる時に、互いによりよいつながりを保つために手を振る場面などが詠まれています。

このように『振る』という行為は私たちの祖先にとって、目に見えない空間の力を発現させる行為だったのです。空間を揺るがす振るという行為によって、空間には霊性がもたらされるという考え方で、私たちの祖先は人間の体の所作というものをとらえていました。

今日でも人を見送る時に手を振るのはその名りと言われています。

神社で神主さんがお祓いをする時に、幣(ぬさ)を振るのを見たことがあると思います。日本人であれば、幣を振る一瞬一瞬に、空間が清められるような感覚を覚えることと思います。

空間を清め、いきづかせるこのような行為を、ごく日常的に誰もが行っていた時代が古代であると連想すると、古代のイメージに近づくと思います。私たちの祖先にとって、人間の動作というものは、単なる物理的事象ではなかったのです。

動作が霊性であり、幸不幸を左右する力である世界では、当然、日常の振る舞いはマナーとしてではなく、霊的な意味で重視されます。

そのような社会で評価されるのはよき霊性をもたらす人、すなわちその人が動くとその場が清まるような人です。日本人にとって本当に大切だったのは見かけ上の礼儀の美しさよりも、それが空間を清らかにできるものであるかどうかであったと言えるのでしょう。


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■『たたずまい』『いずまい』『ふるまい』という日本独特の人間観


私たちの国にはこの振る舞いという言葉よりもさらに微妙な言葉があります。動作にさえ表さない段階で人の真価を問う、『たたずまい』や『いずまい』といった言葉です。

『たたずまい』、すなわち、ただ立っているだけのそのあり方で、日本人はその人の人となりを判断しました。その場にいるだけでよき霊性を発する人、それが霊性文化に生きた古代の人々から受け継がれた人間観だったのではないのでしょうか。

江戸末期や明治初期においても、日本人の『ふるまい』を初めて見た欧米人はそれをどう表現したらよいかさえわからずに、文章表現に困苦していたことが様々手記からうかがえます。

この独特で比類するものなく、スポイルされず、驚異的で魅惑的で、気立てのよう日本を描写しようとつとめながら、私はどんなにそれが描写しがたいか実感している

随筆家・東洋学者、エドウィン・アーノルド

日本人の中で長年暮らした外国人は、美の基準が気づかぬうちに変ってしまい、小さくて穏やかで控えめで優美な日本女性の中に置くと、自分の同胞の女性が優美さに欠け、荒々しく攻撃的で不様に見えるようになる

教育者、アリス・ベーコン


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■私たちの祖先は体の中にも中柱が形成されるような体づかいを、日々の生活の中で重んじてきた


見かけの美しさや行動ではなく、その人がどんな人としての香りを発しているのかを重視する社会の中では、繊細な感性が要求されます。そうした中から必然的に生まれてきた文化が、その繊細な感性を培い、その香りを発する人となるための文化でありました。

礼節は西洋では社会生活に必要なマナーです。ですが日本人にとってのそれは、本来それ以上のものでありました。行動に表す以前のその人の存在から発せられる香りがその場に適する長い香りでなければ、どんなに笑顔でマナー上良い態度であったとしても、私たちはその人を良しと見なすことをしません。

日本人にとって大切なのは、表面上の形や動作ではなく、それによって生まれるその人の周囲に漂う空気がどういうものかということでした。表れた動作上の概念である礼節に相当する言葉ではなく、『たたずまい』や『いずまい』といった言葉が重視されてきたのは、その傾向の顕著さを物語っていると言えます。

『いずまいを正す』というと、心と一緒にシャキッと正される気持ちになるものです。そうした心身となれば、人間は自らを正していけるものという、「心身一如(しんじんいちにょ)」の日本人の子育ては、言葉で価値観を植え込もうとする現代的教育とは大きく違っていました。

『たたずまい』『いずまい』のみで、その人の心の乱れを見分ける目がなければ、このような育て方は成り立ちません。とくに女性は家庭の中で、いずまいを問われることが多いもので、女性から女性へと、このあり方は継承されてきました。

これは家という子宮の中に霊性を宿す役割を太古から担い続けたその記憶がそうさせてきたのかもしれません。

凛としたしなやかな軸が磨かれていなければ、乱れのない『ふるまい』『たたずまい』『いずまい』はできないものです。

ですから私たちの祖先は、体の中にも中柱が形成されるような体づかいを、日々の生活の中で重んじてきました。畳の上でのよき振る舞いとしての日常動作は、現代人は真似できないほどしっかりした軸力を必要としたものでありました。

(続く)


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続きものになっているので、興味がもてた方は最初から読むとより面白いかと思います(^-^)

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