he is for She is (3)

スマホで文字をワアアアとノンストップで打つすと、10分でだいたい400文字くらいになるのだと知った。あまり考え過ぎるのも良くないと思って、お題も煙草を一本吸い終わるまでに決めるようにしている。



he is for She is 連載3回目

(1000字 執筆時間25分)



『わたし』



さっき廊下で好きな男の子が「画面割れたままiPhone使ってるやつってすぐヤレるらしいよw」とバスケ部の下品な連中とふざけて話してるのを聞いて、私のiPhoneは見るも無残に割れているから本当に恥ずかしくて悔しくてムカついて、とりあえずトイレまでは普通のフリをして歩けたと思うけれど、個室のドアを閉めた瞬間に涙がポロポロ出てくるし、あんなに好きだったのに今はもう好きじゃないとかじゃなくて大嫌いとかキモいとかすら思えてきて、彼が私の携帯を見た事があるかどうかは分からないけれど、その無神経さと、そんな事を平気で言える男に恋していた自分が腹ただしくて、ハンカチなんて鞄の中だからトイレットペーパーで拭いたら顔はボロボロで、鏡を見たら終わってた。今日の顔、結構良かったのに。


今のは昼休みの話で、iPhoneが急に汚くなった感じがして、もう好きじゃないけど彼にヤリマンだなんて絶対に思われたくないから、学校が終わるまで携帯を鞄に投げ入れてそのまま過ごしたんだけど、こんなにスマホを触らないのは買ってもらってから初めてかもしれなくて、インスタ見たいし、アプリのゲージがそろそろ溜まる頃だなとか思ったり、たった数時間なのに我慢するのが本当に大変で、早く見たいと思う気持ちは前に好きだった男の子に送ったLINEに既読がつくか何回も確認しちゃうのなんて比べ物にならないくらいで、もしかして私は携帯に恋してたのかもなんて思っちゃったくらい。


学校が終わって駅で友達と別れた瞬間、携帯を取り出した私は息が上がりそうなほど興奮して、私がいない間に起こった世界を取り戻そうと未読メッセージを読みまくって、思ったほどインスタのコメントが書かれてなくてガッカリしたりはしたけれど、電車に乗ってる間は浦島太郎みたいな気分で、地元の駅に着いたらお父さんに電話したから、この話はもうおしまい。


「ねえ、機種変していいでしょ、お願い、携帯が壊れちゃったの、うん、今日がいい、お母さんに良いってちゃんと言ってね」


あれから私は恋を少しおやすみする事にして、そうしたら偏差値がちょっとだけあがって、行きたかった大学の滑り止め学部に合格し、生まれて初めて恋人ができて、彼は私の髭を撫でながら愛してると言ってくれた。



だんだんとhe isっぽくなってきましたね(意味深)

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