新しい時代のリサーチホスピタルのあり方を考える(2)病院設備・環境のデジタル化

(1)では診療・治療・看護等、まさにメディカルのフロントヤードの視点からリサーチホスピタルのあり方について言及しましたが、もう一つは、病院設備や環境、バックヤード業務のデジタル化・ソリューションに焦点を当ててみるアプローチです。

病院はまさに1つの町・村です。そのバックヤードには搬送とか清掃・消毒、給食、設備維持・管理等、実にさまざまな業務が存在します。しかしながら、意外とそうしたバックヤード業務をソリューションして事業を開拓しようという企業がまだまだ少ないのが現状です。

たとえば、簡単な話で言うと、調剤ロボットの薬剤払い受けトレイとか薬剤保管運搬トレイとか、100円ショップで買えば激安なのに、抗菌加工されているとか、機械とセットであるとかいう理由で、1個500円以上するものもあり、何がなんだか訳がわかりません。

また、皆さんが目にする病室のベッドなんかも、退院後は次に備えてバックヤードで30分くらいかけて人力で清掃・消毒し、セットアップします。リネン交換なんかもそうで、バックヤードには清掃やリネン交換等のいわゆる外注業者さんが狭い部屋で待機し、日夜バックヤード業務をされています。

また、人間ドックのバックヤード業務も面倒な事務手作業や事務管理作業のオンパレード状態です。まだまだ多くの病院がそんな状態です。いまは低賃金の人件費でなんとかなっていますが、いずれ人口減の状態に突入すると、とたんにコストパフォーマンスが悪くなることも危惧されます。

こうした病院等のバックヤードにおけるDX化やソリューションにアプローチすることも、まだまだ多くのビジネスチャンスが残っていると思います。

追加的に言うと、病院の電力やお湯の消費量は日々膨大です。まさにエネルギー消費のかたまり、といっても過言ではありません。こうした視点からソリューションを組み立て、病院経営の改善に資するサービスモデルを研究する場としても機能するリサーチホスピタルが日本に1つくらいはあっていいと思います。

多くの企業がリサーチホスピタル、AI、ビッグデータと言うを聞くと、もっと足元を見て、小さなビジネスチャンスを確実にコツコツ拾っていくのも必要なのに、と思ってしまいます。

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