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2023年6月19日。あなたは知らない

両親が北海道に行っている。
単身赴任、と言っても月の半分は姉も行ってるから
単身赴任のような義兄のところへ。
もちろん姉もいて、まあ、旅行がてらみたいな感じ。

旅先から送られてきた母のLINEに
私は胸が詰まる。

「お姉ちゃんは爪に火を灯すようにして暮らしている。
あなた(私ね)との暮らしはとても贅沢だ。」と。

胸が詰まるのは姉に同情するからではない。
腹立たしい気持ちでいっぱいになるのを
抑え込もうとするからだ。

今の私の暮らしはもしかしたら贅沢なのかもしれない。
でもね、私の今はどうしてできたと思う?
精神的にも経済的にも頼る人がいない中で
私がどれほどの努力をしてきたのか
どんな思いでいたのかを
あなたは知らない。
あなたたちは知らない。

夫が病気になって
それは癌が見つかるもっと以前のこと
彼は仕事を辞めて主夫となった。
研究をしたいと大学院に籍を置いた。

彼がやっと就職できるまでになって
といっても臨時雇用なんだけど
それでも若干の収入がプラスされるようになった。
やっと解放される。

と思ったらすぐに癌がみつかって。
その時息子は高校生。私立高校に通っていた。
私は仕事を掛け持ちした。3つね。
早朝50キロの距離を下道で通った日もある。
深夜に起こされて出動した日もある。

息子は進学をせずに残ろうかと言ったけど
好きなラグビーを続けたらいいよと
関東の大学へ送り出した。
バイトができない部活だったから
生活費と部費の仕送りが始まった。

夫の治療費、息子の仕送り、自分たちの生活費。
私一人の肩にかかっていたんだよ。

その時の暮らしを
あなたは知らない。
あなたたちは知らない。

「経済的にも体力的にも負担をかけてごめん。
でも私には見ての通りお金がない」
姉が言ったそうだ。
母が私に言ってきた。

でもね
家があるでしょう?
北海道と名古屋を行き来するお金があるでしょう?
共働きせずにいられるでしょう?
姉は看護師。どこでだって働けるし
高収入を得ることだってできるんじゃないの?

私は家を手放した。
時々に合わせて仕事を増やした。
時々に合わせて住むところを変えた。
そうやって「今できること」を見つけてきた。
悔やんだことは一度もない。

同じようにしてとは言わない。
そして「わかってもらいたい」とも思わない。
いや、思ってるかな。笑
思ってるからこうやって行き場のない思いを
ここに書いているんだと思う。

できることをせずに
「お金がない」とか
「したくてもできない」とか
そんなことを言う人が嫌いだ。

お金を得るためにできることはたくさんあるし
したいならできるようにすればいいと思う。

私がひとりで抱えてきた重責を
ひとりで生きていくことの切なさを
あなたは知らない
あなたたちは知らない

でも
ひとりで生きていくことの気楽さと自由が
私にはあるから
あなたには言わない
あなたたちには言わないでおく。

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