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【声劇】私だけの友達

(登場人物:私、見知らぬ誰か→男と表記)

(語り:大人の私)
私「昔、私が小さい頃。ずっと不思議な友達がいた。その子と出会ったから、もしかしたら、今の私が居るのかもしれない。なんて、この頃はおもったりしてる。

そんな、誰にも話していない〈秘密の物語〉」

「出会いは幼少期、いつものように夜を迎えて寝ようとしていた。のに、寝れなくて、窓の外を眺めていた時だった。」

(幼少期)
男「やあ、こんばんわ。こんな夜中に外を見て、寝れなかったのかな?」

私「誰?」

男「怖がらないで、大丈夫、変な人ではないから。」

私「変な人は、みんなそんなこと言うよ。ママに報告してくる。」

男「待って、待って!本当に変な人じゃないから。大丈夫!、、、それに、君にしか僕は見えないから。」

私「そうなの?なんで?」

男「世の中では僕のことを、〈イマジナリーフレンド〉なんていうけど、、、」

私「へ、、、?インド人フレンド?」

男「カレーは作らないなあ!
要は、〈君だけの友達〉ってことさ。」

(語り、大人の私)
「それから、毎晩のように訪れて、ずっと何気ないお話をし続けていた。
でも、ある時、男は、忘れられない言葉を私に渡してきた。」

(幼少期)
(いつものように窓辺で風に当たっている)

男「やあ、こんばんわ。」

私「やっと来た!待ったの。」

男「ごめんね。」

私「いいの!何話すの?」

男「君に伝えておかなければならないことがあるんだ。」

私「何?」

男「もう、君は大人に近づいた。もう、君は大人の指示に従って生きていかなくなるんだ。
これからは、自分が自分に指示をして生きていかなければならない。
何が良くて何が悪いか、何が好きで何をしたいか、全てを君は君が決めて生きていかなければならないんだ。」

私「どういうこと?自由になるってこと?」

男「そうだねぇ。自由になるけど、自由に操られて生きていくんだよ。辛いこと苦しいこと、泣きたくなること、それ全ては、自分で選んだものの延長線にある。だから、責任は自分が持たなきゃいけない。人のせいには出来なくなるんだ。」

私「大人って怖いのね。」

男「怖いか。責任は自分で持たなきゃいけない。けど、いいかい?絶対に1人で抱え込んじゃダメだよ。本当に悩んだ時、苦しい時、周りの誰かに頼むんだよ。親でも、友達でも、恋人でもいい。誰かに頼るんだ。」

私「あなたでもいいの?」

男「ははは!
そうだねえ。俺のことが見えていたら、俺でもいいよ。」

(語り、大人の私)
「それから、話が急に代わり、また、いつもの何気ない会話に戻った。
そして日がたち、いつの間にか、男はいなくなっていた。その頃には私には好きな人が出来て、とても充実した毎日だった。

今、イマジナリーフレンドと言われれば、こんなものと何となくわかる。
だから、きっとどこかで彼は今の私を見てくれている。

ずっと、私の中で彼は隣にいてくれている。そんな気がする。

今日もあなたの思いを胸に抱いて生きている。」

#フリー台本 #掛け合い #声劇

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