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ここ数年で一番打ちのめされたこと

順風満帆な人生を送ってきたわけでもなく、たくさんの挫折も経験している人生。それでも、生まれながらの固有スキル「適当」を持つ自分は、そんなにダメージを負ってこなかった(ような気がする)。

でも、そんな自分が今でも思い出す出来事をいつまでも忘れないために、そして、いつでも思い出せるようにここに書いておく。

ステージ

「人には当然、他の人に比べて優れている、劣っているところはあるが、優れていることが善いことであるわけではなく、劣っていることが悪いことでもない。」

一言一句あっているか全然自信はないが、どこかで見た誰か偉い人の言葉が今でも大好き。善し悪しがないからこそ、人はそれぞれ自分に合ったステージで、最善を尽くして幸せになればいい。そんなことを伝えるメッセージだと今でも思っている。

さて、そのステージ。色々なステージがあるからこそ、今の自分がいるステージ、努力して目指したいステージがある。

出会い

ある日、一緒に仕事をしている生命保険会社の方から人を紹介された。なんでも、世界的に有名な建築家とのこと。

早速ネットで検索するとすぐに出てくる。相当有名な人らしい。もしかしたら、普通なら会えない人かもしれない。

そこから、その建築家に会うまでに調べられることは全て調べようと思い、amazonで著書や特集されている雑誌を全て購入し、その人のどんなところが注目され、どんな考えを持っている人なのかを理解しようと読み込んでいった。

想像していたようなキャリア・パスではなく、そして、とても自由な面白そうな人だった。

会う当日、いつもより少し緊張してその人の事務所に向かい、初対面。めちゃくちゃカッコよくて、そして、とても優しく気さくな人。

話し合いは順調に進んで、その人が新しくつくる会社の設立をお手伝いすることになった。なんとか話も落ち着いてホッとしていると、建築事務所の共同パートナーを紹介された。

その方も建築家として有名な方で、名刺交換をして、挨拶を交わした。そして、こう質問された。

「あなたは、どのようなことをしてくれるんですか?」

優しい口調で問いかけているのとは裏腹に、その目は相手の全てを見つめる、そして、嘘を許さない目。

自分は、一所懸命仕事の説明をした。でも、口を動かしながら、問われているのは仕事の内容ではなく、自分という人間がどのように二人の建築家の仕事、そして、人生に関われるのか、それを絶対に問われていると思った。

でも、その時の自分は、ただ口を動かして仕事の説明をしているだけ。心では、絶対にこれは問われている答えではない、一体何を自分はしているのか?そして、変な汗が身体中から溢れていった。

一通り自分の口が動き終わった後、質問をしてくれた共同パートナーは優しい微笑みを返してくれ、それ以降、自分と目を合わせることはなかった。

帰りの電車の中で

あの時、自分は何故問われていることが分かっていたのに、答えられなかったのか?それをずっと考えて電車に揺られていた。そして、気付いたことがあった。

あの時、自分は答えようとしなかったわけではない。その答えを持ち合わせていなかったのだ。

では、何故その答えを持ち合わせていなかったのか?それは、普段の自分の仕事への姿勢が、問われていた「相手の仕事、そして、人生にどのように関わるのか?」ということを全く意識していなかったから。

では、それを自分に質問した人はどうなのか?

本人に確認したわけではないので分からないが、多分常にそういう視点で仕事をしているからこそ、たくさんの人の心を動かす仕事を手がけ、そして、その仕事が評価され有名になっているのだと思う。

その人たちと自分では、仕事に対する考え方、姿勢、そしてステージが違うんだ。

そんなことを気付かされ、自分という人間の仕事に対する意識の低さを思い知らされた出会いとなった。そして、このことは決して「適当」に済ませていいことではない、と強く思った。

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