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#029【念書】ルールに懸命に尽くした先に【ライブレポ】

今回は去る2月1日に行ってきたkoshi inaba LIVE2023en3.5のライブレポートをライターになったつもりで書いてみます。

2023年2月1日19時、筆者は横浜アリーナにいた。
人生初の横浜アリーナに来た理由は稲葉浩志のソロライブのためである。
説明不要とは思うが稲葉浩志とは言わずと知れた日本最高のロックユニットB'zのボーカリストだ。

2016年以来になる今回のソロライブのトピックは色々あると思うが絞りに絞ると
・ミスチルのドラマーである鈴木英哉のサポート起用
・ソロ初のセンターステージ
・マスク着用の観客の声出し解禁

の三点だろう。

一点目については90年代JPOPの代表格であるB'zとミスチルのメンバーが共演するというのは2021年にB'zpresentsUNITEというイベントでお互いの曲を一曲ずつコラボするまではしていたが
今回のコンサートワンステージ丸々というのは自分みたいな今よりも娯楽としての音楽の価値が高かった90年代をリアルタイムに過ごした人間には贅沢な時間だったのではないかと思う。

実際鈴木氏はデビューしてからミスチル以外でドラムを叩いたことがないというレアさだった。

二点目のセンターステージというのは稲葉氏のソロコンサートでは初、B'zとしても2005年のcircle of rockツアー以来の二度目だった。
そしてcircle of rockツアーでベースのサポートで参加していた徳永暁人氏が今回も参加していたコトに縁を感じてならない。

三点目については少し話が逸れるがそもそも稲葉氏の歌詞の世界は抽象的な表現が多いので同じ言葉を聞いても人それぞれの解釈ができるのが魅力だと個人的に思っている。

「愛」「自由」「命」と手垢にまみれた言葉について聞く時期によってこんな解釈もあるんじゃないと気付かせてくれる稲葉氏。

例えば「愛」という言葉だと今回一曲目の初っ端

十分だろう僕らは十分すぎるほど愛という名のルールに懸命に尽くしてきた
後ろ指など指されることもないままにある種の理想に限りなく近づいていたみたい

愛なき道

ここで歌われた「愛」が今回の筆者には
コロナ禍になってから今まで行った有観客ライブでの他の人に感染させないためにガイドラインに従って声を出すのを我慢してきたお客さんの思いやりのようなものに聞こえた。

三曲目では「自由」を

・逃げるだけじゃこの手には掴めない

STAYFREE

と歌っている。
B'zとしてコロナ禍が収束するのを待つのではなく逆に今までやったことのない形のイベントを次々行い、
そこに集まる人もルールを徹底的に守りながら参加するという姿勢を貫いた先にたどり着いた今回の声出しOkayという「自由」の気高さを感じた。

慣れとは怖いもので今回事前に声出し解禁という情報は入っていたのだが、
2daysの初日はライブ開始から7曲目を演奏する前のコールアンドレスポンスの1回目の空振り感(笑)を見た稲葉さんが「良いんですよ」と言うまで手拍子しか聞こえなかった。

そして声の力とはえらいもので、このコールアンドレスポンス前と後で全く違うLIVEになった。
今まで我慢して溜め込んでた思いを吐き出すかのようにステージ上のメンバーの名前を叫ぶ声、こえ、コエが洪水のように巻き起こってそれを嬉しそうに受け取っているメンバー達。

もちろんまだまたマスクしてのという制限付きの声出しなので完全な「自由」とは言えないが明らかに最近のLIVEとの違いがそこにあった。

2日目は初日に参加して分かってる人も多かったみたいで最初の方から声が出ていたので
初日のこのLIVE途中での切り替わりによる特別感はもう再現不可能で生涯忘れられない体験になったと思う。

アンコール一曲目は2004年の発表から実に19年経って初披露となった『あの命この命』
先程稲葉氏の詩の世界は抽象的で聞く人の数だけ解釈ができると書いたが
発表した時にはなかった今行われている争いによって今回のこの曲の言葉は今までにないほど聞いている皆が同じ絵を共有したのではないかと思う。

『愛なき道』で始まり『OH MY LOVE』で終わった今回のLIVE。
ここで「愛」を「声」と解釈するならば花道を手拍子だけでステージに向かったオープニングから胸いっぱいの「声」に溢れたエンディングを迎えるという演出はどんな演出家も敵わない劇的さだった。

今夏開催されるB'z35周年のPLEASUREツアーではTAKさんにも久しぶりに「声」を届けられそうだ。

なかなか近づいて来やしなかった見えてるつもりの出口に今ようやく片手が掛かっている。

長かった『ゴールデンロード』の出口の先を見届けたいのでB'zpartyさんチケットの当選よろしくお願いします!笑

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