価値転換
新聞に日本製紙社長のインタビュー記事が掲載されていました。紙業界というと、在宅の流れでペーパーレス化・電子化が進み、相当苦戦していると推察します。需要の減少はそのとおりですが、様々な取り組みにチャレンジしていることを知りました。まさに「価値転換」です。日本製紙は連結売上高1兆円を超える大企業です。21年3月期決算では、営業利益は192億円で前年比-45%と苦戦。営業利益率は1.9%と低水準です。やはり感染症の影響は大きいようです。ちなみに同じ売上1兆円超の王子製紙の営業利益は-20%、営業利益率は6.2%です。ちなみに私は大学時代アイスホッケーをやっていました。日本製紙は当時十條製紙といい、部活の釧路合宿では選手OBの方に指導していただきました。製紙工場も見学し、思い出深い企業です。
元々世の中はデジタル化が進展していましたが、感染症が追い打ちをかけました。紙の需要はますます減っています。一方で、逆に紙の良さが見直される動きもある。巣ごもり需要で、料理本や学習参考書が好調。じっくり読んで考えるには、やはり紙がいい。私はパラパラ見直すのも、やはり紙がなじんで好きです。しかし大きな趨勢として紙が減少傾向なのは事実。そこで注目されているのが、セルロースナノファイバー(CNF)という新素材です。木材パルプをナノ・メートル単位の繊維に解きほぐして作る。軽く、鉄の5倍(?!)の強度を持つそうです。タイヤに加えて強度を増す。口に入れても安全なので、食品の粘性、化粧品の保水性に活用する。さらに耐熱性も高く、蓄電効果もあるので、蓄電池としての実用化も検討しているそうです。
そしてなんといっても、脱プラスチックの流れを上手に活かしています。紙を活用した商品の需要が高まっている。紙表面に特殊コーティングをして、食品や日用品のパッケージに広く採用されています。ストローの紙化、さらにはストローなしで飲める紙パックなども進んでいる。紙はデジタルへ、プラスチックは紙へ。紙の良さを見直して、まさに「価値転換」を進めているまっただ中です。
日本製紙は国内に9万ヘクタールの森林を保有していて、脱炭素の取り組みも進めているエコな企業です。世の中の流れを大きくとらえて、上手に乗っていく。あらがってじり貧になるのではない。そんな価値転換の姿勢を強く感じました。見習いたいスタンスですね。
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