【セレブな女の不倫①】何の苦労もない医師の妻の不倫

どれだけお金があっても、友達がいない寂しさやこころの穴を埋めることはできません。

今回のケースは、そんななに不自由ない暮らしをしているとても裕福な妻が、こころの寂しさを埋めるために浮気をしてしまったケースです。またこの記事の最後には、実際にSさん相談を受けた僧侶の立場から仏教の教えによる、今回のケースの考察が書いてあります。

【セレブな女の不倫①】 医師の妻 Nさん

何の苦労もないセレブ妻の心の乱れ  

Sさん(53歳)は大学を卒業し、医師である夫と見合い結婚。彼女の実家も病院。実父から「医師と結婚することが幸せなんだ」と幼少期から言われ、結婚しました。  

夫はみるみるうちに出世し、今では病院長です。一人息子も独立し、都内の大学病院に勤務。彼女はひと通りの役目を終えたかのようでした。周りから見ると裕福で文句のない理想的な家族なのですが、Sさんの心にはぽっかりと穴があいていました。  

いくらお金があっても、本心を打ち明ける友がいなかったのです。何を言っても「あなたほどの幸せものはいない」としか返ってこない。時間つぶしにデパートへ買い物。高級バッグを購入しても、出かけるところがないのです。  

病院長の夫は学会、ゴルフといい、本当は女でもいるのだろう? と疑います。しかし離婚問題に発展するのが怖くて、彼女から切り出せない。いわゆる仮面夫婦を演じるしかありませんでした。  

あるとき、台所の水まわりの調子が悪く、業者さんをネットで調べると、笑顔のさわやかな青年が映っていました。一人でやっている便利屋さんのようです。さっそく電話をすると、明るい声で「なんでもお役に立たせてください」と返事がきました。  

すぐにかけつけてくれ、家に上がるなり「うわぁ、映画のシーンのようなお家ですね。僕も親に家でも建ててあげたかったな」と心の内を話します。そして、水まわりはすぐ修理してくれました。  こんな会話をしたことのなかった彼女は、「よければお茶でも飲んでいかない? 時間をとらせた分、お支払いしますから」とお願いしたのです。  

すると彼は、「とんでもないです。奥様みたいな方とお話しできるとは光栄です」と椅子に座り、どんなことにでも明るく返事をしてくれるのです。その話題の豊富さにびっくりしました。それはSさんにとって充実した時間だったのです。  

それからは、家の修理という口実をつけては来てもらうことになりました。会話をするなかで、奥さんとは共働きで、夕食もお弁当が多かったりするという話を聞きました。そのうち、20歳も年下の彼を思い切って食事に誘ったのです。  

彼はとまどいながらも、「いいのですか?」と誘いにのってくれたのです。  

Sさんは何十年ぶりのときめきで、前の日にはエステに行き、お気に入りのワンピースで装い、予約した割烹の店に行きました。  

彼は作業着とは違い、ブランドのシャツにデニムのパンツ姿、とても清潔感にあふれていました。あまりのギャップにびっくりし、「あなたはどうしてこの仕事を選んだの?」と聞くと、「父への復讐でしょうか?」と笑って答えます。  

その反応にますます興味をもった彼女は、「どういうこと?」とたずねると「実は、私の実親は医師なんです。僕は車が好きでエンジニアになりたかったのですが、大反対されました。お前は親不孝ものとなじられて生きてきたのです」と言います。そのとき、ある小説を読んだ一言に触発されたとのこと。

心の寂しさを埋めてほしい

Sさんは彼に何を求めているのでしょうか? 

たしかに彼を好きになったことには違いありません。もっと会いたいという独占欲も出てきます。自分でもどうしようもないくらいに気持ちが落ち着けなくなったのです。それは、心の寂しさを彼が埋めてくれたからなのですね。  

しかし、そこに「愛」があるとどうでしょうか? 本当に相手が大切だと思ったら、相手の自由を奪ってはいけないのです。相手の時間を尊重しなければならないのです。しかしSさんは、自分の心を埋めてくれることだけを求めたのです。  

何度も電話をすると、彼は待ち合わせ場所にきてくれました。別れ際、彼は「Sさん。勝手だけど僕は今の家族を壊したくないのです。どうかそれをご理解いただき、これから少しの距離を置きながら会えませんか?」と言ったのです。  

彼にとってSさんはお金持ちの奥様。何でもおごってくださる。またお互いに医師の家族で育ったという共通点もある。刺激もあったでしょう。しかし、まさかここまで近づいてこられるとは思ってもなかったのでしょう。 どちらから嫌になる瞬間は「距離感が保てないとき」なのでしょう。一方的に相手から近寄られると重くなるのです。

人間を惑わせる5つの欲  

私はお経を学ぶとき、師から「ただ、楽器としての鐘をたたいているのではありません。私の迷いの闇を破る意味も象徴されているのですよ」とお教えいただきました。  

その迷いが「五欲」です。  

食欲、睡眠欲、財産欲、名誉欲、色欲です。空腹を満たしたいという食欲。寝たい、怠けたいという睡眠欲。お金持ちになりたい、このお金は誰にも渡したくないという財産欲。人よりも認められたい、有名になりたいという名誉欲。そして、異性とつき合いたいという色欲はかならず備わっています。  

かといって、欲望があるのが悪いのではありません。五欲に引きずり回されて生きていることに気づけないことが怖いのです。  

Sさんは四つの欲は満たしたのですが、色欲だけが満たされていなかった。誰でもいいのではなく、せめて気持ちが理解できる男性と会い、お金は自分が負担することで、満たされると思ったのでしょう。しかし相手は心をもった人間です。  

自分の思ったとおりにはなってくれない。欲望によってますます深まってしまうことにも気づけないのです。なぜなら「彼は家族が大切だ」と言ったのです。

私の法話会にたずねてくださったSさんは、「心が乱れて苦しいです」と打ち明けてくださいました。私は、彼とはほどよい関係を保ち、もう一度、家族に目を向けて、女性としても何か他に目を向ける(趣味)ことをおすすめしたのです。  

Sさんは「妙慶さんのおっしゃるように、本当に彼を大事にしたければ、相手の時間を奪ってはならないのですね。気持ちを少しずつ切り替えてみます。毎日、合掌する日をいただきます」と静かにうなずいていかれました。

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