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無いならもらっちゃおう作戦を実行できる環境とは

諸葛亮孔明。言わずと知れた古代中国、三国志の時代の名宰相です。様々な奇策を用いたことでも有名ですが、その中からひとつ。

魏の大軍が押し寄せる中、呉と蜀の連合軍の責任者だった孔明。敵の大軍に対峙するには、「10万本の矢が必要」で、速やかに用意せよと告げられます。

孔明は船に兵士を乗せ、わらで編んだかかしにかこませて船を敵軍に向かわせます。敵軍から雨のように降り注ぐ矢。ひととおり船に矢が突き刺さったところで船を戻し、10万本の矢が用意できました、と。

「持ってないなら敵から貰えばいいじゃない作戦」ですね(たぶんそんな名前じゃない)。

孔明はこのような奇策で知られていますが、個人的にこの人を魅力的に感じるのはもうちょっと前のところなのですね。幼少期から極めて優秀だった孔明は、その後蜀という国の宰相になるのですが、いわゆる就職活動の時期の状況はどう考えても魏という国の一強状態です。当然この国に就職する能力もあったはずなのに、行かないのです。蜀という国はまだ建国されてすらいない。

蜀を作るのは劉備玄徳という人です。この人は中国統一を夢見ながら、孔明と出会ったときは自分の国はおろか、たいした軍さえ持っていない。それでも、こういう未来を作りたいから一緒にやってくれないか、と孔明に頭を下げるのです(いわゆる「三顧の礼」)。

現代に例えるなら、グローバル企業に就職する能力も充分にありながらその道は選ばず、引きこもっていたところ「俺が世界を取るから力を貸してくれ」と言ってきた、まだ会社を作ってすらいないオジサン(このとき劉備すでに40代です)と一緒にベンチャー企業を作っていく、という選択をした感じですかね。

さてここから自分の話です(急に)。社会に出て20年ほどたって(やっと)わかってきたのですが、自分は得意なことと苦手なことが極端にはっきりしていて、なかでも「組織の中で一定のルールに従って働く」というのが特に苦手なのです。逆に自分の能力が最も出やすい環境はなにか、と考えると「決定権を持てる状況にあること」であると思っています。小さくてもいいので、自分だけの決定で物事が動かせる。この環境下でのみ出てくる謎のスキルが自分にはあると自覚しています。会社勤めもしてましたがどうしても合わず、なんだかんだで20代からそういう環境を求めてのらりくらりやってきました。逆にコントロールできない要素が多くなってきて、自分で決めた方法論や企画が揺らいでくると、すごく仕事のクオリティが落ちてきます。能力が出せる環境って大事だなあ、と最近よく思うようになりました。

孔明がなぜ大国に行かず、ベンチャーのような環境を選んだのか真意はわかりませんが、彼ほどの人ならおそらく「そのほうが自分の能力を充分に発揮できる環境である」こともわかっていたのではないかと思います。いかに能力がある人でも大企業なら入社していきなり社長になることはまずありませんが、ベンチャーなら相当早い段階から大きな権限を与えられる可能性が高い。その環境を選んで自身の能力を試そうとしたのではないでしょうか。

なぜこんなことを書いているのかというと、「知事の権限」について調べていたからなのでした。次回、11月7日(土)18時~の「RADIO BURN+」に塩田知事が生出演されるからなのです・・・!

都道府県知事はアメリカの大統領制とよく比較されます。都道府県において、大統領制に近い、強い権限を持つところが国の議院内閣制と違うところです。直接選挙で選ばれるということもあるし、知事の権限でできることがいろいろあります。たとえば(議会や総務大臣の承認など一定のルールがありますが)地方税を創設することなどもできる。徴税権というのは歴史上どの時代でも大変大きな権限です。

その意味で、知事は県という行政単位の責任者でもありながら、極めて大きな組織の経営者でもある。逆にコントロールできない要素とも大量に向き合っていかなければならないはず。とても特殊な立場だろうと思います。自身の決定で動かせる範囲がとても大きいとともに、責任の伴う難しいお仕事ですよね。そのような環境を選んで、自らを投じるというのはどのような心境なのだろう。

矢を敵から貰えばいいじゃないと思ったとして、それを実現できるのはそのように兵を動かせる権限を持っているからです。権限のある立場でなければ見えない景色や得られない着想があるはず。軍師と知事はまた違うでしょうけれども、そんなお話が聞けたらいいなあ。

塩田知事のご出演されるRADIO BURN+は11月7日(土)18時から生放送YouTubeライブ配信もあります。どこまで拾えるかわかりませんがTwitterからのご意見などもぜひ頂ければ。ハッシュタグ #rb1107 で投稿してくださいね。




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