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本日の日曜討論

30年目を迎える本日のNHKの日曜討論は、
『いま考える どうする日本の医療』と題して、
大きな社会課題である社会保障と医療について
厚生労働大臣 武見 敬三
日本医師会名誉会長 横倉 義武(元日本医師会会長・元世界医師会会長)
など(敬称略)の出演で今年度の最初の放送が流れました。
年度の初めにふさわしい非常に濃密な内容でした。
所感としては様々な問題に触れていましたが、
武見厚生労働大臣の医療DXへの本気度が強烈に強かったことでした。
私自身、昨年は5回ほど東京で中央省庁とミーティングを行い、
医師会の理事などをしているため、
様々な中央行政等の動きも把握していました。
このため横倉先生や、武見大臣の話の行間が読めるとともに、
個人的な所感として同じ福岡の医師会でもある横倉先生には、
まだまだ日本の医療を先端で引っ張ってほしいと感じるとともに、
その中で、武見敬三氏が厚生労働大臣をしていてくださることは、
非常に大きいと感じました。
繰り返されていたことは『まったなしの状況』であるという言葉でした。
まったなし』と同じくらい出ていたのが『医療DXを進める』でした。
かかりつけ医、医療情報共有、在宅医療の充実などを重要視している、
政府の地域医療構想でも医療危難の機能分化と連携は非常に重要です。
特に在宅医療の強化とかかりつけ医機能の話がありました。
病院機能分化とからめた地域完結型医療(≒地域包括ケアシステム)、
今回の診療報酬改定でもこの部分での医療DXに関しては、
介護と医療の連携を含めて点数配分がなされました。
そういったなかではっきりと言われたのが、
全国的なデジタルプラットフォームの中に全医療機関を入れるチーム医療、
電子カルテやICTに対応できないところは切り捨てるような考えを示された。
このことは大変に大きな話であり、
地殻変動が大きく起こるそこは本気だというメッセージを受け取りました。しかし、相変わらず電子カルテを標準化させてプラットフォームにしていく
という話に終始したのは
まだまだ将来や現実的なところを見渡せていないと感じました。
これは制約が大きかったり、
プライバシーの配慮などで問題があるからです。
何度も言いますが、
デジタルプラットフォームの一つが電子カルテであり、
医療・介護の連携や様々なソーシャルサービスと新しい産業を創成するには
プラットフォームは別に必要だと考えます。
つまり電子カルテでプラットフォームを創るのではなく、
電子カルテから切り分けた制度設計が絶対に必要です。
今月から『医師の働き方改革』が始まりました。
医療費を含む社会保障費の増大や、
(高齢化だけでなく医療の高度化も含む負担と給付の問題)
労働生産年齢人口の減少、
持続可能な社会のために、医療も持続可能な状態でなくてはならず、
日本がほこる国民皆保険維持のためにも制度改革もさることながら、
生産性向上はまさに『まったなしの状況』と言えます。
この為に『医療DXを進める』という内容でした。
生産性の向上とタスクシフトやタスクシェアは同列ではなく、
生産性の向上には
医療DXを進めて、その中でタスクシフトやシェアを行い、
医療の質の向上と医師の負担を両立させることが出来る。
こういったことだと考えます。
財政負担の軽減のためにも医療DXは大きく寄与するものであります。
また公平な医療費の負担においてもマイナンバー制度は有効だと思います。
また、コロナ禍の中での医療DXの遅れの問題点も指摘がありました。
これに引き続き危機管理の在り方や、
危機管理司令塔のようなものを構築する発想についての言及もありました。
そしてそれを医療提供体制にも拡充させていくような考えも示されました。
やはりこれまでの延長線ではこれからの医療は成り立たない、
これは医師の偏在に関しても触れられ、
オンライン診療やデジタル化を進めるとし、
今後様々な場面で大きな変化が起こっていくことが示唆されています。
マクロの話では医療費や医療財源との絡みで先端医療の話がありました。
新たな新薬の6割が日本において薬事申請されない状況を憂慮し、
先進的医療が日本で受けられなくなる。
日本が脱落しつつあり、
先端的医療にはコストが必要だが財源の在り方を見直す必要がある。
選択療養だけでなく、国民皆保険を維持するために保険外併用療養制度など
戦略的に再検討が必要で新たな仕組みが必要と言及されました。
ここは医療生産性の向上は医療費を大きく抑制させることが出来ることを
個人的には考えてほしいと思いました。
効率化された医療、これはDXによってはじめて達成されると考えます。
一般国民のヘルスリテラシーを高め、
ヘルスケアの保険・医療・介護の中での保健も重視させる必要がある。
そのためには電子カルテではないプラットフォームが必要です。
なぜなら医療機関にかからない、
電子カルテの情報がない人もプラットフォームに入る必要があるからです。
とても良い日曜討論であったと思います。


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