突然ラリーにハマってWRC初観戦するまでの話
公道最速を競うモータースポーツ
その名も「ラリー」
これはそのラリーに1年前唐突にハマってしまった私の、世界ラリー選手権「WRC」初観戦の記録である。
※以下、選手名は敬称略
本当に車に興味がない、モータースポーツには縁もない人生を送ってきた。そんな人間がラリーにハマったのは、1年前のある日、YouTubeにオススメされたこの動画を視聴したことに始まる。
前述の通り車には全く興味が無かったのだが(どうしてYouTubeはこうも謎の角度から動画をオススメしてくるのか)、これでラリーというモータースポーツの存在を知り、その後ちょっと気になって色々調べてみたところ新井敏弘(※)のキレッキレの走りに魅了されてしまった。ラリーファン誕生の瞬間である。
(※前述の動画の出演者・新井大輝の父)
(これでモータースポーツの世界に対する解像度が上がった結果、今まで「車好きなんだろうなぁ」くらいの認識だった私の父親が実はラリー好きで年季の入った三菱オタクだったことが判明した(今まで本当に知らなかった)(血は争えないとでもいうのか))
そんなこんなでラリーにハマり、世界選手権(WRC)にも興味をもち始めた頃に、あることを知った。
そう、WRCが日本で開催されるのである。
WRCの13戦目、ラリージャパン。どうやら愛知・岐阜で世界最高峰の戦いが行われるらしいことを知ったラリー初心者、このチャンスを逃してはいけないと思い観戦を決意した。
なお一緒に行ってくれるラリーに詳しい友人などは当然いないので、初観戦にして1人観戦である。果たして大丈夫なのか...?
不安を抱えつつも、観戦チケット(11/12(土)、岡崎SS)を無事に確保したのでラリージャパンの開幕を待った。
時は流れて11/10(木)、待ちに待ったラリージャパンの開幕である。
ちなみに私をラリーの沼に突き落とした新井敏弘・田中直哉 組は開幕早々に大クラッシュしてリタイアしている(両名とも肋骨とか複数箇所折れていたらしい、お大事に...)。
つまり好きな選手をこの目で見られない...ってコト?!
悲しみを背負ったままいざ愛知へ。
新潟から夜行バスに乗り、11/12(土)早朝に名古屋に到着。岡崎SSは15時半頃に競技開始の予定なので、午前中はサービスパーク(豊田スタジアム)でのイベントを楽しむことに。
で名古屋から電車を乗り継いで豊田スタに行ったのだが、すごかった。夢の国だった。
まず「Rally Japan 2022」とでっかく書かれた入場ゲートからもうテンション爆上げである。
このゲートを通り抜けた先に三菱、スバル、トヨタの歴代のラリーカーが展示されていた。ラリーファンたちがそのマシンを眺めたり語ったりしていたのだが、ごく最近ハマったばかりの私はその歴史や功績をほとんど知らないため「わーすごい超かっこいい!」というIQゼロの感想しか出てこない。でも本当にかっこよかった。知識無いなりに (三菱の超かっこいいの...ランサー...だよね...?(自信なさげ)) とかやってるの楽しかった。
その他にも車のパーツメーカーや開催自治体など様々なブース出展やグッズ売店、さらにはいわゆるスタジアムグルメのような飲食店エリアもあり、ラリー観戦以外でもとても楽しめて既に満足(早い)。
ところでどこのブースだったか忘れたのだが、比較的昔の三菱のラリーカーが展示されていて、写真を撮って父に送ってみたところ懐かしのマシンに父もテンション爆上げしていた。
満足ポイントはこれだけではない。ラリージャパン開催中は競技の様子がビジョンで放映されており、サービスパークの入場券さえあればリアルタイムでパブリックビューイングができるのだ。すごい!
ここで競技を見ていたのはスケジュールの都合上30分程度だったが、間違いなく1日いられる。いい天気のなか、外で買ってきたご飯を食べながらラリー見られるなんて最高オブ最高。
まだここにいたい気持ちは山々...しかし時間なのでいよいよ観戦の地・岡崎へと向かった。
電車を乗り継ぎ東岡崎駅へ。会場となる乙川河川緑地へは駅から徒歩で向かうのだが、改札を出てすぐ案内ボードを持っているスタッフの方がいて、方向音痴かつ土地勘のない私にはとてもありがたかったしホスピタリティすごい、と感心しきり。
歩くこと15分、乙川河川緑地に到着。河川敷へと階段を降りると...祭りの会場さながら屋台、キッチンカーが20店舗ほど並んでいる。普段よく行くサッカー観戦でこういった光景は見慣れているはずなのだが、シチュエーションが違うので(あくまでラリーは初観戦の身)この空気に完全に飲まれてしまい、普段ならまず買わないであろうクラッシュゼリー(みかん)入りの抹茶ラテなどを購入。あまり見ない組み合わせだけど美味しい。
なお浮かれまくったためか写真を撮るのをすっかり忘れた。
あと、この河川敷近辺にある籠田公園から駅方面へ向かう中央緑道にも出店があったらしいのだが、この時靴擦れしていて元気に歩き回れる状態じゃなかったので諦めざるを得なかった。靴はちゃんと選ぼう。
いよいよ競技開始の時刻が迫ってきた。
デモラン(トミ・マキネンとユハ・カンクネンによる水素ヤリス、開発中のRally2車両のドライブ。さすが名ドライバーだけあって速いし迫力がすごい)や、コースをチェックするゼロカーの走行を経てさぁスタート、というところなのだが、一向に始まる気配をみせない。
どうしたのかなぁと待っていたところ、この会場、河川敷なだけあってすぐ側が川であるため、もしコースアウトして川に落ちたら大変だということでダイバーの手配等を急遽行っていたらしい。
...実際に過去には斜面を滑りマシンごと貯水池に転落したドライバー(無事)もいたし、事故が起こってからでは遅いという判断なのだろう。
なおこれでスタート時間が押したため、元々SS13、14の2本立てだったはずのこの岡崎SSは1本のみに短縮されることとなった。見られるチャンスは1度きり...
準備が整ったところで、気を取り直して競技開始である。
1番手はフォードのC.ブリーン。
待機している時点で、既に普通の車とは違うエンジン音がこの河川敷に響き渡っている。
そして、満を持してスタート。
...
速!!えっ!?なにこれ!??音ヤバ!!!
これまで画面越しに見ていた光景、スピーカー越しに聞いていた音とは比べ物にならない、モータースポーツの「リアル」がそこにはあった。
私の貧相な語彙力では表現しきれないのがもどかしいがとにかく臨場感が凄まじい。体の奥にエンジンの音が響く。
その後も続々と走るラリーカー。颯爽と駆けるレジェンド、セバスチャン・オジェ。巻き上がる砂煙。ステージを制するスピードのティエリー・ヌービル。どよめく会場。皆の期待を一身に背負う勝田貴元。そして圧倒されっぱなしの私。
もう最初から最後までクライマックス。
正直に言うと、コースから観客席までは川を隔てている分距離があるため、始まる前までは雰囲気を楽しめればいいかな〜などと思っていた。
しかし実際に始まってみればその距離を感じさせない力強さであり、気付けば目の前を駆けるマシンのその一挙一動に釘付けとなっていた。
ラリー、めっちゃ面白い!!!
どうして楽しい時間は一瞬で過ぎてしまうのか。
雰囲気を楽しめれば〜なんて思っていた私は、終わってみればトップカテゴリ以外も全部見ていたし、なんなら最後のスイーパーが走り終わるまでいた。しっかり味わいつくした。
いや〜生で見るラリーこんなに面白いなんて聞いてないよ〜〜〜
そして楽しすぎて燃え尽きたか、はたまた余韻に浸りすぎたか、会場から帰りの駅までどうやって向かったのかよく覚えていない。それでよく帰ってこれたな。
燃え尽きながらもツイートはしていた。
来年も行くね、ラリージャパン。あ、あと国内ラリーも見に行ってみたいな。
1年前唐突にハマってしまったこのラリーというスポーツ、完全に私の人生を変えたので罪深いと思う。クルマって、面白い。[完]
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