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【時事ネタ】プリオン病ってどんな病気?


昨日2022年6月15日、ネットニュースでこんな記事を見かけました。

時事通信社ネットニュース記事より引用


なんだか新型コロナ流行の始めの頃を思い出させるような、ゾッとする内容です。



しかしながら、この記事を見たからといって
「長崎大は何をやっているんだ!」
「またパンデミックが起こるぞ!」

と騒ぐのはネットリテラシーが低いというもの。

まずは"プリオン病"が何かをきちんと知っていくところから始めましょう。

*私自身、知らなかったことをネット記事や医師、病理専門家の記事で調べたに過ぎないので、本記事の情報を鵜呑みにするのは危険です!情報リテラシーは大切に!慎重に!

○プリオン病って何?

プリオン病は、別名を「伝達性海綿状脳症」といいます。

ふむふむ、どうやら脳の病気みたいですね。

調べてみると、"プリオン病"というのはその原因となる"プリオンタンパク質"の構造異常から起こる病気の総称のようです。

プリオン病の多くは孤発性(自然発生的)で生じる未だ原因不明の発症で、本記事の始めに記載した時事通信の記事にも出てきた"クロイツフェルト-ヤコブ病(CJD)は孤発性プリオン病の一種と考えられています。

プリオン病で最も多いこの孤発性プリオン病の発症率は「100万人に1人」ほどと言われています。

「割と少ないのか…」と思いましたか?

でも、100万人に1人って日本だけでも100人以上発症する計算ですよ。
これがどれだけ恐ろしいかはまた後ほど。


○プリオン病の原因は?


プリオン病が他の病気と異なるのは、「タンパク質による病気」という点です。

現在も流行している"新型コロナウイルス感染症"。これは名前の通り、"ウイルス"による病気なんですね。

ウイルスや細菌ではなく、原因が"タンパク質"である。これは研究が開始された1960年代、かなり研究者を驚かせました。それまでは病気の原因として"タンパク質"というのは中々珍しかったんですね。

それではプリオン病のメカニズムについて。

プリオン病は先述した通り、"プリオンタンパク質"の構造異常によって起こります。このプリオンタンパク質は、人間誰でも身体の至る所に持っているタンパク質で特に脳に多量に存在し、それ自体は人間にも必要なものです。

しかし、このプリオンタンパク質が何らかの理由で構造異常を起こします。(ここの詳細は不明)
この異常な構造のタンパク質を「異常プリオン」と呼んだり、プリオン病の元となったヒツジの奇行から「スクレイピープリオン」と読んだりします。

スクレイピー:歴史上初めて、ヒツジで見つかったプリオン病。罹患したヒツジが柵などに身体をこすりつける(スクレイプ)ような奇妙な動きをすることから名付けられた。

そして、この異常プリオンタンパク質、なんと

周囲の正常プリオンの構造までも変化させ、決して元の正常プリオンには戻らない

という厄介な性質を持っています。

そして早くても数ヶ月、長ければ数年という長い潜伏期間で少しずつ身体に蓄積された異常プリオンタンパク質が一定量を超えると、"プリオン病"として発症するわけです。

*この潜伏期間中に人間が身体の異常を自覚することは不可能と言われています。



○プリオン病になるとどうなるの?

*画像は無いですが、閲覧注意です。

プリオン病は、現代の医学を持ってしても

致死率100%

と言われています。

身体内部の影響としては、
上記の潜伏期間を経てプリオン病を発症すると脳の細胞内に微小の泡が形成され、徐々に脳に無数の小さな穴を開けるほど蝕んでいきます。
(これが「海綿状」という病名の由来です)そして最終的には細胞が機能停止、死滅します。

いやぁ恐ろしい。。

これが100万人に1人って怖くないですか?
偶然でも発症したら必ず死ぬ。それが日本に100人以上いるんですよ。俗的ですけど、相当やばいでしょ…


さて、このとき外見での特徴としては、
細胞への侵食で筋肉の協調運動が損なわれるため、異常行動が見られます。(先述した"スクレイピー"のやつです)

そしてその後人間では認知症を併発するとされており、プリオン症発症から数ヶ月〜1,2年で死に至るケースが多いと言われています。


○現在の感染リスクはどうなの?

プリオン病は、感染症です。
ただ、現在の所、飛沫感染や空気感染の決定的証拠は無く、罹患動物の肉を食べたり、感染者から輸血をされたり、体液を触ったりという直接的な獲得によって感染するものであると考えられています。

ですので、今回の長崎大のケースでは、解剖者や研究者が体液に直接触れたりしていない限りは感染リスクは低いと考えられるでしょう。

ここはあくまでも私の推測ですが、元々プリオン病による死亡者として長崎大に運ばれたわけではないようなので、恐らくご遺体の方はプリオン病の潜伏期間にお亡くなりになったのではないかと思います。もちろん潜伏期間でも異常プリオンタンパク質は危険なのですが、医学の研究機関でもありますし、感染リスクは低いのではないかと思います。


また、プリオン病の一種として「狂牛病(BSE)」があります。

狂牛病は1986年頃に発見され、その後一時期はアメリカやヨーロッパを中心に年間5万頭以上のウシやヒツジ、シカなどたくさんの動物が発症する社会問題にもなりました。人間でも発症例があります。

しかし、これらの感染動物の肉を摂取することによる「獲得性プリオン病」に関しては、その後各国で対策として食用肉に関する法が整備されるなどして、現在では年間罹患者も300人程に収まっています。

つまり、孤発性や家族性などを除いた「我々が未然に対策できるプリオン病」である"獲得性"に関しては、現状でもかなり対策が為されているわけですね。


○最後に

いかがだったでしょうか。

プリオン病が恐ろしい病気であることと、現在は人間が対策出来ることはしっかり対策されているということがおわかりいただけたかと思います。

始めにも記載しましたが、
今回の長崎大の件は"長崎大のミス"ではありません。むしろ病理検査で危険なプリオン病が発見出来たことで大惨事にならなくてよかった(まだわかりませんが。)と思うべきです。我々がプリオン病を知る良い機会にもなりましたよね。

万が一にも、メディアの情報操作に惑わされて非の無い人々を非難することがないようにしましょう。


○参考文献
・『プリオン病ってどんなもの?』
 著:北本哲之
・『プリオン病(1)クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)(指定難病23)』
 難病情報センター
・『人類が経験したもっとも悲惨な病気の1つ「プリオン病」の実態』Medical Note連載


ここまで読んでいただきありがとうございました。

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