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【大人は知らない】いじめの3段階


皆さんは、"いじめの3段階"という言葉を聞いて、ピンと来るでしょうか。

これは精神科医の中井久夫先生が、いじめの病理的性質や被害者と集団の心理について書かれた論文『いじめの政治学』の中で述べた考え方です。

私はこれを大学の教育学部の講義の中で一年半ほど前に聞いたことがあり、印象的だったのでよく覚えています。

ということで今回は、

この"いじめの3段階"について論文の内容を引用・抜粋しながら簡単にまとめたいと思います。


○いじめの3段階

1.「孤立化」
2.「無力化」
3.「透明化」

1.「孤立化」

第一段階は「孤立化」と呼ばれます。
ここでは"イジメる側"と"イジメられる側"がはっきり区別されます。

ここでイジメる側が用いる手段が、

PR作戦


というものです。

PR作戦では、イジメる側が

"いかにイジメられる側がイジメられる側に値するか"について、周りにプレゼンし始めます。

身体が小さい、男の子なのに女の子っぽい、他よりも勉強ができない、忘れ物をよくする、など理由は様々ですが、

ここでの目的は
集団の第三者、所謂"イジメる側でもイジメられる側でもない生徒たち"に

「イジメられなくてよかった」

「あいつ(イジメられる側)よりはマシだ」

という差別意識を植え付けることなので、理由は理不尽なことがほとんどです。


そしてPR作戦の恐ろしい所は、

PRの対象を教師に向け、間接的同意を得ようとすること

です。

例えば、
イジメる側の「○○さんは忘れ物が多い!」
という発言に対して、教師側が冗談半分にでも

「確かにあいつもそういう(ダメな)とこがあるなぁ」

などと言ってしまうと、これをイジメる側は

ほら、先生もダメだと言った

と間接的にでもイジメることを肯定されていると認識します。

ここで「クラスメイトにも、教師にも見放された」と思ってしまうイジメられる側の生徒は、
次第に"孤立感"を感じるようになり、キョロキョロする行動が多くなったり、脂汗を流すようになったりします。

ただこの時点では、まだイジメられる側に反抗心があるので、次の「無力化」の段階へ移行します。

2.「無力化」

この「無力化」段階の目的は、その名の通り

"イジメられる側に自分が無力であると思わせること"

にあります。

ここでは、イジメられる側がイジメる側に対してわずかでも反抗的な態度・姿勢を見せれば、イジメる側は激しい暴力を振るうようになります。

さらには、

「今、反抗的な目をしたな」

「今、俺のことを嫌な奴だと思っただろう」

などと言いがかりを付けて"罰"という名の暴力を振るうようになるのです。

特にこの段階でイジメる側は、

"イジメられる側が教師など大人に相談すること"

に対しては重い罰を与え、

「大人に相談するのは卑怯なことだ」

という感覚を植え付けます。

こうして、徐々に疲弊したイジメられる側が自分を無力だと思い込んで反抗しなくなり、大人にも相談しなくなったとき、

いじめは透明化するのです。


3.「透明化」

この段階になるといじめはほとんどクラスの一部として溶け込み、教師の目からもほとんど見えなくなります。

"孤立化"して"無力化"されたイジメられる側を支援する周囲の者はいなくなり、世界を狭められたイジメられる側にとっての学校というコミュニティが
"いじめのコミュニティ"へと姿を変えていきます。

このとき、事態を透明化させる大きな要因の一つが"イジメられる側の心理的変化"にあります。

透明化の段階になると、イジメられる側は、
ある日、突然イジメる側の気分でいじめられない無い日があると、それを

"ありがたい恩恵を受けた"と認識するようになります。
こうなると何が起こるか。

周囲から見ると、

普段は仲良く遊んでいるように見える

ため、これが事態の発見を著しく遅らせ、悲しい結末に繋がることになるのです。




いかがでしょうか。

これを読んでも、まだ

「ちょっといじめられたくらいで…」などと子どもに言えますか?

いじめられている子どもにとって、いじめられている時間は冗談抜きで永遠のように感じられます。

いじめの実態とその惨さ

それを知っていなければ、子どもを支える親として、一人の大人として、子どもに寄り添った言葉をかけてあげられるわけがありません。

しかし逆に言えば、それを知っているだけで、
子どもたちを最悪の事態から救ってあげることが出来るかもしれません。

今、子どものために考えてあげられることは何か

一人の大人として、いつも考えていきたいものです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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それではまた。

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