丁字草花甘さうに咲きにけり 子規

瑠璃色の花が、夜空を飾る星のようにひっそりと可憐に咲く。花の色と形が素朴で純粋であるがゆえに、原種系を好むマニアックな人をそこはかとなく惹きつける。幾重にも重なるバラや牡丹系とは対極を成す。わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です、という詩句が自然に流れ出てくる。うっとりとして身も心も解けてしまいそう。食べたくなる。もしも食べたら甘そうだ。貪欲な子規らしい発想だが、全草毒である。

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