冬菊のまとふはおのがひかりのみ 水原秋櫻子

寒くなり空気がピンと張りつめて、ひりひりするような繊細な感覚であるとき、ひとむらが光を集めているのに気がつく。何だろうと近づいていくと、菊の花が密集して、今にも咲きだそうとしている。こんなにも美しい姿でひっそり咲こうとしている。今菊として咲くためにこれまでの長い歳月を過ごしてきたのだ。その晴れやかな素晴らしい瞬間に出会えた喜び。冬菊との一期一会である。冬菊が光り輝き、凛としている。

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