再びの名残の雪と思ひけり 高木晴子

その年の最後に降る雪が名残雪。春になり暖かくなると、今後はもうお目にかかれないと判断し、降りじまいとして名残雪とする。もう二度と会うこともなかろうと思えばこそ名残り惜しい。未練たっぷりとなる。ところがである。それっきりと思っていた雪に偶然にも再び出会うこともある。なんという運命。松ぼっくりに火がつき、呆然として降りしきる雪を眺める。得難い瞬間を一瞬たりとも無駄にしたくないと目を見開き、時を忘れる。


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