春セーター少し派手とは思えども 藤波銀影

1本の毛糸で編まれたセーターには、思いの詰まった時間が編みこまれている。ふんわりとしたやわらかい空気を含み、自らの体温の層で寒さから身を守る。立春を過ぎ、縮こまっていた皮膚がようやく緩んできた。暖かい風を感じながら街を歩きたくなってくる。うきうきした気分が明るい色を選ばせる。パステルカラーの淡い色調が、春らしい雰囲気と調和する。人の目を意識してちょっと気恥しさがあるけれど、解放感に満たされ軽い。

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