田水張つて空のおもさの加はりぬ   鷲谷七菜子

静かに眠っていた田が起こされる。鉄砲や蓮華がひっくり返り、黒々とした肥沃な土が顔をのぞかせる。いよいよ本格的な農作業が始まり、広々とした平野が息を吹き返す。一台のトラクターが終日行ったり来たりして、堅実に仕事をこなていく。辺り一面の剥きだしの土に太陽の光が降りそそがれ、やがて水が行き渡るや、青空を映す鏡となる。これから始まる農作業の幕開けである。高い空が深々と垂れ、田の存在がずっしりと重く感じられる。

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