じやがいもの花言霊ねむりけり    佐藤鬼房

薄紫の波打つ花びらが反り返り黄色い花芯が突き出るじゃが芋の花は、清楚で素朴な花である。その花を贅沢の極みにいたマリー・アントワネットが好み、髪飾りにしていたとは驚きである。原産地のペルーからヨーロッパに伝えられたときには食物としてよりも花としての魅力に嵌った。やがて、地下に眠るじゃが芋の価値に目覚め、食料として普及していった。暮らしの中で発せられる言葉は、胸の奥に宿る言霊から生まれているのである。

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