聞きとめしものはつきりと秋涼し    後藤比奈夫

自然が課す人類への挑戦状の如く過酷な暑さである。上昇する暑さとともに不快指数が上がり、人の適応能力や忍耐力が試される。8月もあとわずかとなり、心身の限界を探るような暑さもようやく峠を越したようだ。緩やかに五感がもどってきた。まわりの静けさに心が安らぎ、虫の音に驚かされる。空気が澄み、はっきりと輪郭をもつような澄んだ音色に聞こえる。暑さから身を守るために防御していた膜が剥がされまず聴覚が戻ってきた。

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