音もなし松の梢の遠花火 正岡子規

川に沿って街ごとに花火大会があるので、毎週末夕方になるとどこからか花火の音が地響きをたてて伝わり、ビリビリ窓を震わせる。嗚呼始まったと急いで2階に上がりあたりを見渡すと、明るいネオンが炸裂した後に時差を置いて大太鼓の音がズドーンと鳴り響く。これでワンセットである。遠くになるほど音は遅れてやってくる。終了間近になると連発する。パチパチパチと高い音が拍手のように聞こえてくる。これぞ夜空を飾る日本の夏。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?