待春の水よりも石静かなる 倉田紘文

水道管が破裂しないように、夜中にちょろちょろ水を出しっぱなしにしている。古い家なので、家の中は外気とほぼ同じとなり、外気が0℃に近づくにつれ2℃くらいにまで下がる。雪が降るとマイナスになり、雨だとプラスで氷る心配はなくほっとする。壁を隔てた外の蛇口から出る水は、氷りたがっている。蛇口をひねっても静かなときは、限りなく時間が長く感じられる。春はいつやってくるのだろうと春を待つ気持ちが高まってくる。

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