冬の暮灯さねば世に無きごとし 野見山朱鳥

冬になると日の暮れるのが早くなる。6時ともなればもう暗い。ひっそりとした家に日が暮れかかると手元がぼんやりとしてまわりに闇が深くなる。さしあたってやることもなく、暗くなるのにまかせしばらくぼんやりと闇を見つめることになる。だだっ広い空間に黙って座り込んでいる。この世にあるものは、見えるからこそ存在しているかのようだ。目に入らなければ存在しない。見えなければ無。色即是空空即是色。般若心経の世界。

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