花どきのふさぎの虫と闘へり 石嶌岳

世間の人々は、花に浮かれて気もそぞろ、ふわふわとした拠りどころのない感覚に襲われている。その流れに乗りきれない自分に気づく。どこか気分が優れず、なんとなく気が重い。人と話すのはもちろん接することすら億劫になる。ふさぎの虫が宿っているのだ。こんな時ぐらい、憂さ晴らしをしようではないか、花でも見に行こうと自分を叱咤激励する。智や情や意地を捨て、世間と融合する突破口を探る。少しの勇気さえあれば踏み出せる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?