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光の方へ



生きる意味なんかなくていい、
そう言ってあなたは笑った。

その笑顔はキラキラとしてわたしには眩しすぎた。救われる思いもしたけれど、同時にあなたとわたしとの測れない距離を見た気がして、少し寂しくもなった。

少し?・・・ううん、かなり。

キラキラと輝くあなたは光で、わたしは黒く地面に張り付く影だった。
生まれて来なければよかったと、そう言われ続けてきたわたしは、存在の意味の裾を握っていないと立ってさえいられない。
本当はそんなものにこだわらず、無垢にひた走ってこの命を使っていきたいけれど、辿り着きたいそこへは透明の壁があるみたいだ。
目的地は見えている、手を振るあなたが見える。すぐそこへ簡単に行けそうなのに、見えない壁がそれを阻む。
そうか、あなたはその壁の遥か向こうにいるからなんだ。
そして、その距離なんてまるでないかのように無邪気に手招きをしている。

お願い。早くこの壁に気が付いて。
そうして壁の向こうから手を伸ばしてこの手をひっぱって。あなたのもとへ。

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