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譫言

どろどろと眠りの中に溶けて、ベッドと一体になった頃には「今は何時だろうか」と気にもしなくなった。
貧血で倒れてゆく瞬間に似ている。
緩やかに穏やかに死んでゆくとき。

今日がいつまでも続くとは思わない。
寧ろそんなことはうんざりだった。
追いかけてきた昨日が今日を追い越すような日々の中で、明日に馳せる希望は捨てた。

夢を探して開けた空っぽの冷蔵庫の前で冷やされていくちっぽけな身体。
ありつけたものはなく、何も生まないし何も生まれない。


(カバーイラスト:オリジナル作品の一部)

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