紫蘇ばかり食べている

 迂闊だった。紫蘇の生命力をなめていた。地球にはびこる人間の様か?

 私はいつから紫蘇を育てているのだろう?ちゃんとは思い出せないが、4、5年前位なのではないか。確か前の家の近所の、幼稚園への送り迎えで通る商店街で紫蘇の苗を買った様な気がする。その時はプランターも少なく、日当たりも悪かったのでさほど育たなかった。

 去年の春に今の家に引っ越して、屋上にプランターを置いて全体的に植物の量を倍くらいにしたものの、紫蘇の勢いはそれほどでもなかった。秋になり、穂紫蘇が食べきれなくなって放置したら、枯れてしまったので、軽い気持ちでいくつかのプランターに適当に撒いてしまった。

 今年の春になって、沢山の紫蘇が芽吹いた。ここにも、あそこにも、あれよあれよという間に、方々が紫蘇だらけである。一本あるだけでも中々の収穫量なのに、30本位生えている。隣接しているので一株毎の大きさは小さいものの、皆相手より抜きん出ようと必死に生きている。

 平均して一日に40枚位は採れる。二日で80枚、三日で120枚。採るのをサボると、一度に消費しなければならない量が増える。間引いてしまえば良いのかも知れない。しかしだらしがない私にはそれが出来ない。

 パンジーを隠し、キャベツを隠し、トマトを、朝顔を、他の植物達があっという間に隠されてしまうので、それらの植物に日が当たる様に、その周りを重点的に摘み続けている。3日で元に戻る。

 最近は殆ど昼に家にいるので、お昼には紫蘇が40枚くらい入った納豆、ジャコ、卵ご飯を繰り返し食べている。味噌汁に紫蘇を入れるとさっぱり香りが高くて気に入った。一人20枚。焼き鳥を串からバラして、一切れずつ紫蘇に巻いて食べた。10〜20枚。小葱と一緒にチヂミにした。これは好評だった。30枚。イワシの刺身を細かめに切って、一切れずつ手の平でご飯と紫蘇巻きにした。20枚。刻んで納豆と一緒に油揚げに挟んで焼いた。30枚。餃子。50枚。炒飯。80枚。佃煮。100枚。

 まだ作った気もするが、思い出せない。思い出したくないのかもしれない。今の所こんな感じだが、まだ攻略法がある筈だ。

 紫蘇はとても体に良いらしいし、食べ過ぎても害は無いとのこと。安価に栄養価の良い新鮮な野菜が手に入る幸せ…。でも、味には飽きる。またどうでも良いことに心も時間も費やしてしまう。

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