バナナ

派手にすっころんだ。

世界が勢いよく回っている。違う。僕がもの凄い勢いで転げ落ちているんだ。
洗濯機に放り込まれた洗濯物はこんな気持ちなんだろうか。僕はぐるんぐるん回りながらも、なぜか冷静にそんな事を考えた。
回転する世界の中に、ちょこんと小さな黄色い物体がチラチラする。あれは…

バナナの皮。

つまり、僕はバナナの皮を踏んづけてすっ転び、坂を転がり落ちているわけだ。古典的ギャグか。
ふつふつと怒りがこみ上げる。誰だ、あんなところにバナナの皮を捨てたやつは。危ないじゃないか。
ゴミはゴミ箱へ。ここがシンガポールなら罰金モノだぞ。マリオカートかよ。思わず叫んでみたが、叫び声は虚しく空中に消えた。

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ。
ぐるぐるぐるぐるぐるぐる。

一体どれくらい転げ落ちただろうか。「いつになったら止まるんだ」と思った矢先、

ドン！

とても大きな一本松にぶつかり、僕はようやく停止した。
痛い。
起き上がる気力もわかない。バタンと仰向けになった。大の字。

空が青い。濃いブルーにモクモクとした入道雲。夏空だ。
ズキズキする頭に、蝉の鳴き声がけたたましく響き渡る。
僕が一体何をしたっていうんですか。見えない神様に問いかける。

これが、僕の奇妙な夏休みの始まりだった。

ーーー

先日、連想リレーnoteのようなものをやってみたいと書いた。

まず言い出しっぺが実行しなきゃな、という事で、お題「バナナ」で奇妙な短文を書いてみた次第である。
「バナナ」から連想する言葉は「すべる」か「黄色」か「果物」あたりが鉄板か。もっと他にもあるかもしれない。
何でもいい。誰かが「バナナ」から連想するお題で何か一つ書いてくれると嬉しい。「書きましたよ」とかコメントしてくれると更に嬉しい。#連想リレーnote みたいなハッシュタグでいくか。どんどんバトン繋がるといいなぁ。