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〇〇焼ってどうやって決まる?〜ぶっちゃけ私はこだわってない〜

こんにちは。うつわ屋enの佐原舞です。

お店に立っているとよく「これはどこの焼き物?」と聞かれることがあります。

決まっているものについてはお答えしたりもするのですが、中には作家物であって"〇〇焼"の型に当てはまらないものもあります。

そして、ぶっちゃけ個人的には何焼であろうがいいと思ってます。(怒られそう・・笑)

質感やデザインがショップのテーマに合っていれば、お取り扱いしたい。
(普段使いできて自分がオシャレだと思えるもの。)

自分が好きだと思えるものが『たまたま〇〇焼に多かった』ならそれはそれもまたヨシ。

それが私のセレクトショップ。

だけど、その器を作るまでにどんな背景があって、どんなこだわりがあるかなどを知るとより楽しめるものがあるし、必要とあらばお客様にもお伝えしたい。

と言うことで今回は、「〇〇焼の定義ってなんだ?」について理解を深めてもらえたら嬉しいな〜と思います。

時代と共に変化した使い手の価値観

うつわ屋enに来てくださる人達は、専門家でもないし、骨董品を集めている人でもない。

私のお客様は、毎日家事をしているごく普通のご家庭で、普段の生活に馴染むようなうつわが求められている。

ファッション業界でも『自分の感性に合うものであればブランド物もプチプラも使っちゃう!』といった人が増えているように、

うつわもまた、「〇〇焼だから」ではなく「自分の感性に合うものがあれば欲しい」人が増えているのです。

そして変化したのは使い手だけでなく造り手側も同じ。

さ、ここからが本題。

〇〇焼は、土・窯のある場所・技法できまる

それはインターネットが普及する前のこと。遠方の物を気軽に購入なんてできない時代。

その地に窯を立ち上げ、産地の土を用いて作られる器には、『〇〇焼』という産地の名前が付けられてていました。

※ その他、技法によって〇〇焼と括られるものもあるしいです。緑色の織部焼、淡黄色の黄瀬戸(きぜと)などは釉薬の特徴から名前がつけられた代表例だとか。

しかし、誰もが気軽にネットショッピングできるようになった現代。

長崎ではみんなが知っている『波佐見焼』の原材料も、ほとんどが熊本県の天草で掘ってきた陶石が使われています。

はたまた、佐賀県で作陶されていても佐賀の焼き物(唐津焼や有田焼など)に当てはまらない作家さんもいたり・・

佐賀県の作家:梶原妙子さんのうつわ


全国にファンが多い美濃焼ですがこちらも、『特徴がないのが美濃焼の特徴』と言われるほど、いろんな技法、作風で溢れています。

※例えば、小石原焼や小鹿田焼でよく用いられる『飛びカンナ』という技法は、美濃でもよく使われています。

このように、現代においての"〇〇焼の定義"はとても難しいのです。

分かれる造り手の方向性

とは言え、伝統的な器造りをされている人もたくさんいらっしゃいます。

うつわを造る人には、『伝統を護る人』『型にはまらない人』『伝統を護りつつ現代化している人』の3タイプくらいいらっしゃるんだな〜っとイメージしてもらえたらいいかと思います。

うつわ屋enのテーマ的には、型にはまらない人と伝統を護りつつ現代化している人が多いです。

というかその人達しかいないかも。
(移動販売というトリッキーな手法とベビーフェイスのせいだと思います。笑)

こういった裏側を知ると、一括りに『〇〇焼』と考えているのがなんだか勿体ない気がしてきませんか?

一口に〇〇焼と言っても、造り手の方向性はいろいろあるんですね。

明日からうつわを見る視点が少しだけ変わってもらえると嬉しいです。

はい、今回はここまで。

ではでは。

「地元には働きたい会社がない」という理由で地元を離れてしまう若者たち。そんな田舎で、「働きたい会社がないなら自分で作ってみよう」と思いうつわ屋さんを始めました。いつかは地元の「就職先」問題を解決するメディアを作りたく、サポート資金はそのメディア運営用の資金に貯金します!