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商品とお客様

…の関係は、羊における牧草のかたちとほぐし具合に似ている。
牧草は30キロの塊を、だいたい10個くらいの小分けにできる。
この、一枚剥がしただけのものはめちゃくちゃ圧縮されていて、そのままでは羊たちはむしり取りながら追いやってしまうことがほとんど。
朝は特にはらへりなので、その1枚を半分にちぎりながら配っていく。

当然、1枚と、はんぶんにちぎったものと、それをほぐしたものでは食いつきが違う。
一枚をしつこく一途にむしって食い続けられるのは、群れでも1~2頭。
半分にちぎると4頭になり、すべてほぐすと全頭が集まってくる。
食べにくいのだ。だからほぐされた所に集まる。
これは、商品と非常に似ているのではないか?とふと思った。

私に都合のいい形状(例えば、羊の肉ならまっぷたつになっている枝肉。加工賃は屠畜料だけ)だと、食べ続けられるのは少数(レストランやプロ向け)で、加工度合いでお客様の集まり方が変わるのだと。
(ブロック加工はお客様のお好みだが、やはり人気の部位には偏りがある。スライスは簡単な加熱で食べられるけどダイナミックさには欠ける)
しかし…ほぐされたもの(=資材などをかけまくった商品)ばかりでもよくない。いろんな商品をご提案していき続けるのが大切だ、と。
羊の食い方からそんなことを思った。

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