見出し画像

交通機関のハレとケと【東京のりもの散歩~いちょうマークの車窓から39】

都営フェスタにバスが来た

 2023年11月18日、志村車両検修場は大勢の来場者でにぎわっていた。イベントの名称は「都営フェスタin三田線」。都営交通のお客様向け感謝祭的なイベントはコロナ禍の影響により20年と21年はオンライン限定、22年はオンラインとリアルの複合イベントとして開催された。入場制限を設けないリアルイベントの実現は、実に4年ぶりとのこと。内容としては、車両撮影会、限定電車カードの配布、事前申し込み抽選制の運転台見学と保守車両試乗体験(小学生以下のお子様と保護者対象)、工場内見学、地元の特産品や相互直通運転各社の販売ブース、警察や消防車両の展示など、盛りだくさんであった。
 広大な志村車両検修場の敷地内には、都営バスの車両も来ていた。他の車両より全長が長く、配色も独特な外国製車両、いわゆるフルフラットバスである。電車の車両検修場に現れた、「映える」バス。しかも運転席に座って記念撮影ができるとあっては、人気が出ないはずがない。未来の都営バス運転手(?)とその保護者を中心に、バスの入り口には行列ができていた。その様子を私は遠くから見ていたが、お客様は例外なく良い顔をしていた。
 「ハレ(晴れ)」と「ケ(褻)」という概念がある。日本人の伝統的な世界観の一つを表す言葉であり、ハレは祭礼や年中行事などの非日常、ケは普段の生活、つまり日常である。個人的には公共交通機関というものは身近な日常であるので、ケに近い。しかし都営フェスタのような特別なイベントは、ハレに分類されるはず。普段は関係者以外立ち入り禁止の場所に「いらっしゃいませ」と招かれ、その日限りの体験ができたり、限定グッズを購入することができるのである。これをハレと言わずに何と呼ぼうか。部署は違うが広い意味での関係者である私ですら、会場内を歩きながら間違いなく気分の高まりを感じていた。
 ところで、2024年1月18日に都営バスは開業100周年を迎える。祝祭の雰囲気とともに公開された特設サイトのトップページには「これからも、この街と皆さまと」の実直な文字が並び、営業所の一日の流れや都営バスの歴史といったコンテンツが置かれている。非日常と日常、まさにハレとケの共存である。
 そして、1月20日には100周年記念イベントの開催が予定されている。オリジナルデザインラッピングバスはどのようなデザインになるのか、限定グッズは何が出るのか。今からハレの日を楽しみにしている。

都政新報 2024年1月12日付 都政新報社の許可を得て掲載
【参考資料】
都営フェスタ2023 in三田線を開催します! | 東京都交通局 (metro.tokyo.jp)