山寺は私の原点だった
1992年3月、私は東京都港区の日赤会館にいた。教育関連の財団法人が主催する「手づくりの絵はがきコンクール」の表彰式に参加するためである。当時のほとんどの家庭に普及していた簡易印刷機による絵はがきを中心とした7千点以上の応募作品の中から、私の「山寺駅」は郵政大臣賞に選ばれた。郵政大臣賞の受賞者は全体で5名、高校生部門では1名という狭き門だった。郵政大臣という呼称に懐かしさを覚えるほどに時間は流れ、今や過去の栄光と笑われるような色あせた出来事になってしまったが、私にとっては間