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東京シューレ性暴力被害者原告による要望書

原告による要望書が公表されました。許可を頂きましたので、全文を掲載いたします。公表された要望書原本スクリーンショットを原文のままテキストにしました。

私の見解は、別のページにまとめる予定です。まずは、原告が命を削りながら書いた要望書をより多くの方に読んでいただきたく、TwitterとFaceBookに掲載しました。他にも原告のスクショ公開が見られる環境の心ある皆さんがSNSなどに掲載しています。日本社会は性暴力二次加害が蔓延しています。原告が自らのアカウントで発信することにより、二次加害が起きてしまうリスクを回避するために、原告に心を寄せる有志の人たちが原告に代わって発信していることの意味を考えて欲しいのです。多くの方々に性暴力二次加害の問題も含めてシューレ性暴力問題を丁寧に考えていただけましたら幸いです。

東京シューレ関連施設内で起きた子どもに対する重度の性暴力加害について、詳しくは、朝日新聞の記事と太田泉生氏のツイートをご参照ください。

https://www.asahi.com/articles/DA3S14350665.html

山下耕平さんのブログを追加します。

https://maigopeople.blogspot.com/2020/02/blog-post.html

以下、原文のままテキスト化したものです。

東京シューレ性加害事件の検証に対する要望書の公開にあたって 今回、東京シューレが起こした性加害事件に対する検証をして下さること、また、被害者側にも証言の機会を いただけたことに大変感謝しております。私はこの検証が被害者達への二次加害になることを非常に恐れています。

1995年に阪神淡路大震災があった後、災害時の性暴力被害の存在を訴えた被害当事者の方々が、「検証」 と言う名のもとに二次被害を受けた事が頭をよぎります。その時被害者支援をなさっていた方達は、その後10 年に渡って沈黙されることになるほど大変なショックを受けられたそうです。被害当事者の方々ではなく支援者 でさえ、10年です。それほど検証作業というのは二次加答になりうる危険を伴うものであり、被害者への細心 の注意を必要とするものであることをまずは皆さまにご理解いただきたく思います。自分の被害がどのような人 達によって、どのように扱われるのか。専門性・公平性・独立性の保たれた調査なのか。私以外の、声を上げたいと思っている全ての被害者達・元在籍者達にも、発言の機会がある検証になっているのか、大変気にかかって おります。

私は要望書というものを見たことも書いたことも無いので、自分は何がどう恐いのか、何故それを怖いと感じ るようになったのか。また、安全に検証してもらうにはどのような方法があるのか、一つ一つ自分の心と向き合 いながら、必要な情報を調べて書き進めてきました。要望を一つ書いては、そんな要望をする自分を激しく罰し て、せっかく書いた物も消してしまうのを繰り返しながら、なんとかこの10項目を作りました。本要望書の各 項目についても、「『拒否する場合、理由も合わせてご説明ください。』などと、こんなに書く必要はないんだ。」 と何度も自分に言い聞かせましたが、提訴以降のシューレの対応により「一つ一つにきちんと書いておかないと 危ない」という強い恐怖と不安が自分の中に根付いてしまっていることに今回気が付きました。皆さまには読み にくくなっていると思いますが、このような被害者側の背景をご理解いただければ幸いです。

東京シューレから検証のお知らせをいただいた時には既に調査が始まっていた点、私が被害そのものや二次加 害からの後遺症で思うように文章が書けない点などで要望書の発表がこのようなタイミングになってしまいました。私の要望は、そもそもの検証作業に関わることですので、今のタイミングでは遅いと思われるかもしれま せん。しかし、このまま現在お知らせをいただいている「加害団体東京シューレの中に作られた人権委員会」が 検証を行うのであれば、シューレも、公正な検証をしたと言う事は到底できないものと考えます。

私の知る限り、 人権委員は加害団体東京シューレの人間が殆どを占めています。シューレの大人達は、本件和解をきっかけに “今”、性暴力や性の人権について“学んでいる”段階です。分析できる立場にはありません。本件加害団体東京シューレは、検証をするのが、主に加害団体のスタッフらにより構成された人権委員会であ ることや、集計するのが加害団体の中に作られた委員であることが被害者に与える影響に、もっと自覚的になる 必要があると考えます。被害者の声というのは、被害者にとって安全な環境、安全な条件を整えなければなかな か聞こえてこないような繊細なものです。被害者が安心して話せる条件を整えるのは、被害者の声を集める側の 最低限の責務であると考えます。東京シューレに、被害者への二次加害にならないよう最大限に配慮したい気持 ちが有るのであれば、被害者側の恐怖や不安にも応えていただけるものと信じております。

私は、東京シューレができてから今までの35年の間、東京シューレでなんらかの性暴力被害に遭った元子ど も達にとって安全な検証、そして、今現在在籍している子ども達や、これからの子ども達の安全にきちんと繋げ ていただける検証になることを望んでいます。そのために、要望書の内容を含め、一つ一つの証言を重く受け止 め、有効な再発防止につなげていただけるよう、ここに要望書の一部を公開します。

以下、10点を東京シューレ内子どもの人権の保護に関する委員会・検証部宛に要望いたしました。

①フリースクール全国ネットワークが本作の検証を行うと7月に発表されましたが、今回東京シューレがご 連絡くださった検証はそれとは別のものなのでしょうか。何もご説りいただけていないことに大変困惑し ております。検証に関するフリネットと東京シューレの今までの動き、現段階で考えておられる今後の流れをご説明いただきたく思います。拒否する場合、理由も合わせてご説明ください。

②今進めておられる検証は、誰が、どのように行うのかご説明いただきたいです。拒否する場合、理由も合わせてご説明ください。

③公正な検証にするため、日本東京シューレ内の委員が検証するのではなく、東京シューレと利害関係の無い外部の有識者達によって構成され、専門性・公平性の保たれた独立した検証委員会の立ちあげを求 めます。加えて、その検証委員に被害者側の推薦する有識者を入れることを求めます。拒否する場合、理 由も合わせてご説明ください。

④公正な検証にするため、ヒヤリングは、加害団体東京シューレではなく、東京シューレと利害関係の無い - 有識者で構成された検証委員会が行ってください。拒否する場合、理由も合わせてご説明ください。

⑤ 2001年から現在までの東京シューレの対応の問題も検証して下さい。拒否する場合、理由も合わせてご説明ください。

⑥加害者は、本件の前に東京の方のシューレでしていた性暴力加害を自白しています。検証の目的として挙げていらっしゃる「なぜこのような事件が起きてしまったのか、なぜそれが見逃され、見過ごされ続けて きたのか」を検証するためには、ログハウスシューレの元在籍者だけでなく、東京シューレができてから 35年の間に、東京の方に在籍していた人達にもヒヤリングを行ってください。元在籍者達から東京の方 で性的なトラブルが有ったという証言も出ているので、全ての被害者及び在籍者に発言の権利と機会を下 さい。拒否する場合、理由も合わせてご説明ください。

⑦公正な検証にするため、スタッフ及び奥地氏へのヒヤリングも、シューレと利害関係の無い有識者達によ る検証委員会で再度行ってください。拒否する場合、理由も合わせてご説明ください。

⑧声を上げたかったのにアンケートの存在を後から知る被害者がなるべく出ないよう、ヒヤリングの告知を 東京シューレのHPや各SNS公式アカウント、不登校新聞やフリネットなどでもっと大々的に行ってく ださい。アンケートの周知方法について、不登校・性暴力の専門家からアドバイスをもらった安全な方法 を本文に示しました。拒否する場合、理由も合わせてご説明ください。

⑨性暴力は知識が無いと被害を自覚しにくい問題です。アンケートの内容を、当時の複雑な状況がきちんと 聞きとれるものにしていただくよう改善を求めます。厚労省や性暴力被害者支援団体らのセルフチェック リストを例に挙げ、具体的な改善案を本文に示しました。拒否する場合、理由も合わせてご説明ください。

⑩検証プロセスと検証結果の公開を求めます。被害者のプライバシーに配慮しながら公開することは可能です。自分の証言がどのように扱われたのか分からないまま検証されるのは、大変に恐ろしく、被害者にと って大きな負担となります。心の傷をなるべく小さくするためにも、被害者のプライバシーに配慮した形 で検証のプロセスと結果の公開を求めます。また、現在公開されている情報では、1) 加害団体の中に作 られた人権委員会による検証であり、2)本件加害者の自白していた東京の方のシューレの被害者につい ても調査されておらず、3) アンケートの存在の周知もされていない、4) 専門性・公平性・独立性の保 たれた検証とは言い難く、加害団体が社会的信頼を取り戻す効果は望めない検証と言えます。東京シュー レの信頼回復のためにも、検証の改善を行い、そのプロセスと結果を被害者のプライバシーに配慮した形 で公開することを求めます。
2020年10月30日 東京シューレ性暴力裁判原告

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